影 北原白秋・澁澤龍彦ほか (文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 第二期)
影 北原白秋・澁澤龍彦ほか (文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 第二期) / 感想・レビュー
mii22.
ジュニア向けの文豪怪談アンソロジー5冊目。「影」がテーマ。ジュニア向けだがすべて原文を使用、分かりやすく総ルビ詳細な注釈がつけられている編集のセンスのよさが光るシリーズ。影というものは文豪にとってこの上もなく興味をそそられるテーマらしい。影は明かりがなければ姿を現すことのない存在だけど光など全く届かぬ暗闇で不気味に蠢くイメージがある。こういった影にまつわる怪談は読んでいると自分の存在が知らず知らずのうちに心身共に影に乗っ取られてしまうのではないかと思わずにいられない、そんな怖さを感じる。
2022/08/27
ちえ
最近は車ばかり乗って月夜を歩くことがない…。影…自分の分身、自分を乗っ取るもの。梶井基次郎『Kの昇天』岡本綺堂『影を踏まれた女』が既読、柳田國男『影』あぁ好き。北原白秋『影』白秋の小説は初めて読むか。渡辺温『影 Ein Mārchen』「ドリアングレイの肖像」を思い出す。城昌幸『影の路』最後の一文、怖い。澁澤龍彦『鏡と影について』が面白い。井戸に今もいるのか…。只野真葛『影の病』どこかで同じような話を読んだ気がする。他、水野葉舟『跫音』、泉鏡花『星あかり』、山川方夫『お守り』、稲垣足穂『お化けに近づく人』
2021/10/17
モモ
梶井基次郎『Kの昇天』溺死したKは異界に行ったのか。岡本綺堂『影を踏まれた女』影を踏まれてから、気に病むことが多くなった女の顛末。山川方夫『お守り』夢だった団地で暮らせることになったが、自分とそっくりな人が、自分の家に入っていって…。渡辺温『影』だましだまされ…。城昌幸『影の道』隣家が近い場所に住み、子どもだった自分が出会った隣の隣の家の女性。何度も巡り会う。影の話だが、最後の東雅夫さんの解説が怖い。影や分身を描いた作家、梶井基次郎、山川方夫、渡辺温、芥川龍之介が若くして夭折している事に複雑な思いがする。
2022/07/31
tomi
東雅夫編集のシリーズ第二期の第一弾は「影」がテーマ。死や狂気の影が色濃い幻想文学の秀作が並び、柳田國男の散文詩や北原白秋の小説なども収録。若くして事故死した山川方夫と渡辺温の作品を並べたのは恐らく意識的だろうが、影が死を引き寄せるような不吉な印象を増幅する。
2018/11/28
まさ
影ってそうなのだ。自分なのに異なる者でもある。幻想譚を好む自分にピッタリの1冊でした。作者それぞれの描く影。忌避される部分から見えてくる本質に唸ってしまう。収録のいずれも素敵な中で、柳田國男、水野葉舟、泉鏡花の作品に惹かれた。解説を読むと影響を与え合った間柄だそう。なるほど。
2020/11/06
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