くわしすぎる教育勅語
くわしすぎる教育勅語 / 感想・レビュー
たまきら
積極的に破るわけでないけれど規則を守るのが苦手な自分にとって、校則は最初の問題だったんですが、知人に「校則を読み込んでそこから自由を得るのが楽しいんですよ」と言われ、そんな風に解釈できる人もいるのだとびっくりした。あの時の気持ちがこの本から立ち上がってくる。言葉は言葉に過ぎない。そこから何を見出し、何を自分が行うか。そして何を人に強制するか。過去が過去だけに素直に受け取れない人がいて当たり前だと思う。
2020/09/05
きいち
本当に詳しい(笑)。◇教育勅語に書かれた徳目は、儒教由来だけではなく、その器に西洋近代の徳目が盛り込まれたもの(筆者の一人は中村正直、『西国立志編』の人だ)と明示。つまり、この勅語の狙いは、憲法と歩みを合わせ、近代人を作ろうとしたものだった。ただし、天皇の権威を用いて、上から。まさに教育。◇そしてそれは、直後よりモノとして奉られ暗誦される対象と化す。「考えるな」。必然の帰結だ。ゾッとするしかない。◇近代の歴史的文書として丁寧に評価することで、内容を曲げて今に甦らそうとする動きをきっぱり否定。戦略的な一冊。
2019/04/07
かおりんご
教育者として、一度は目を通しておかなければと思って借りる。文字通り「くわしすぎる」。一言一句、日本語の用法に戻って説明されている。教育勅語が策定された背景や、なぜ不適切と言われるのかについても、詳しく言及してあり、大変勉強になった。理解できたのかは、怪しいけどね。
2019/11/28
かんがく
タイトル通りにくわしすぎる内容。第一章では一語ずつ勅語の文法や語意、その背景を解説して現代語訳する。第二章では中村正直、元田永孚、井上毅らによる起草から、後の教育界での受容の歴史について解説する。第三章では先行研究や関連資料について紹介する。儒教道徳と西洋道徳を天皇制イデオロギーで統合した文章であり、植民地教育において大きな反発を引き起こしたことがわかる。教育勅語はある意味、近代日本を象徴するような文章といえるだろう。
2020/04/08
チェアー
教育勅語を徹底的に読み込む、という企画。単語ごとの語釈から文法、段落まで細かに解釈する。さらに成立の歴史、経緯、法的位置づけも。批判にするにせよ、肯定するにせよ、どんだけ教育勅語のこと知ってるのよ、ということになる。まず知ること、謙虚に。
2019/09/08
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