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夏の塩 (SHY NOVELS 233)

夏の塩 (SHY NOVELS 233)

夏の塩 (SHY NOVELS 233)

作家
榎田尤利
茶屋町 勝呂
出版社
大洋図書
発売日
2009-07-30
ISBN
9784813012016
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夏の塩 (SHY NOVELS 233) / 感想・レビュー

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エンブレムT

言葉にならないままの、自覚されないままの淋しさや愛しさが、ポツリポツリと心の中に落ちてくるような物語でした。・・・魚住真澄。彼はまるで澄んだ水に棲む魚。だから彼は死んだように生きている。この豊かな日本で。この豊かな日本だから。重い過去も、ままならない現在も、ただ過ぎ行くままにして。その美しく整った顔に、なんの表情も浮かべないまま。彼はただ、そこにいる。友人・久留米のすぐ側に。不動なまでにニュートラルな、心が広くて鈍感な友人の側に。それが自分自身の唯一の望みであるということに、気付くことすら出来ないまま。

2013/06/14

りゅう☆

角川文庫、クリスタル文庫で読了済み。孤児で養父母も事故で無くし、孤独で無機質で味覚症状あり勃起不全の魚住は、大学からの友人で、がさつで口悪くヘビースモーカーで魚住に同情なしで接する久留米のアパートに居候するところから物語が始まる。そしてお互いにだんだん芽生え始める友情を超えた感情にドキドキ。相手は男だぞ?でもなんなんだ、この感情は?もうね、こういうのがBL読んでて一番たまらない。色々大変なことが起こるのよ。でも数十年後の彼らのことを知っているからこそ、ドギマギするこの感情が初々しくて微笑ましい。

2020/10/25

浅葱@

夏の夜明はいちばん涼しい。余分な力みがなくからだも心も静かでフラットな世界。ちょっと汗臭くて腕の匂いをかぐ。ちろっと舐めた味は夏の塩。そんな印象を持ちながら久留米と魚住を見ていた。毎日を繰り返す度に見えたり、少しずつ変われたり、人とつながったり。コンプレックスも性別も国籍も越えて、いるだけでいい関係。エピソード。世界が広がった時に染みだすように静かに語られる自分。哀しみ。「ねえ魚住、みんな痛いのよ」。好きだから言えなくて苦しい時もある。さて、この二人はどうするのかしらん(笑)

2015/08/08

フキノトウ

だいぶ前に、読んだんだけどまた読みたくなって読みました。みんな、魚住を背負おうとして動けなくなるけど、久留米は隣でオラオラと、どやしながら自分で歩かせる。という文に、納得。いい関係だわ。とっても好きな本です。

2014/02/06

扉のこちら側

初読。魚住とHIVキヤリアの少女さちのとのエピソードは涙なしには読めなかった。来年は一緒にクリスマスツリーを見ようとの願い、闘い続けた病ではなく交通事故で亡くなるというところ。携帯がない時代設定ゆえのもどかししさもある。久留米には魚住を幸せにして貰いたい。

2009/07/30

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