AKB商法とは何だったのか
AKB商法とは何だったのか / 感想・レビュー
しゅん
本書の刊行は四年前だし、「AKB商法」という言葉も今では手垢のついたものに感じられるが、アイドル史をオリコンチャートの数字から考察した上で、AKB48というグループの存在意義や手法が先達を正統的に継承したものであることを具体的に説明していて、アイドルに興味を持たない自分でも楽しく読めた。売り上げや人気というものが実際のところ質の良し悪しと一切関係なく、キャラクター性をどれだけ売り出せるかにかかっているという言葉はすべての文化的営為が無視することのできない重要な指摘である。
2017/06/05
鳩羽
なぜAKB48はこんなにももてはやされ、と同時に批判の対象となってしまったのかを、アイドル像の歴史とCD売り上げチャートから読み解く。音楽チャートだけでは、すでに音楽の良し悪しもアーティストの人気も計れなくなっているのが興味深い。みんな大好き、いろんな人を応援するという多様性が認められる時代。嗜好によっては、テレビ・雑誌などのメディアで言われることと自分の経験している現場とが大きく違うことが多々ある。そんなメディアから離れていくのは当然だろうとも思えた。
2013/07/08
摩訶不志木
「AKB商法」に対してマイナスのイメージが強いが、これは時代に合った売り方だし、立派な戦略なんだぞ~、みたいな話。 著者の意見も完全には間違ってはないのだろうけど、AKB商法のせいで音楽チャートがまともに機能しなくなったのは現実にあると思う。 書き出しは中立的で面白かったのに、最終的にAKB商法に肯定的な意見に落ち着いていったのが残念。著者はAKB好きそう。
2018/07/29
ちあき
「AKB商法」と揶揄される販売手法の検証を通してアイドルの歴史と現在を展望する本。ポップミュージック論・消費文化論としても読みごたえあり(ぼくは「DD=誰でも大好き」というキーワードを「多様性の擁護」と読みとった)。ヒットチャートの分析は、歌謡曲からニューミュージックを経由してJ-POPまで体験してきた読者も目からウロコでは。AKB的なものへの評価のみならずアイドルを応援する楽しさに関してもニュートラルな、禁欲的といっていい態度で書かれているため、現場への参画度が高い読者ほどもどかしく思えるかもしれない。
2013/06/14
k_samukawa
表題の通りAKBについても詳述されているのだが、それに限らず、いや、アイドルや音楽に限らず、非常に長い射程を持った批評。音楽業界と同じことが、今や日本社会のあちこちで起きている。テレビ、出版、政治……、様々な場所で、何故このような多様化が進展しているのか、現代を考える上での格好のきっかけになる良書。
2013/06/09
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