夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく / 感想・レビュー
のっち♬
無理に優等生を演じ続けてマスク依存症になった茜は苦手だった直情的で自由奔放な青磁に惹かていく。中三女子のナイーヴな心の機微が入念で、救済役から発せられるメッセージは愚直で執拗。中盤まで停滞気味だったが茜のストレートな反撃で後半は加速、余韻は装丁通り穏やかで優しい。嫌な自分を隠したい願望を誰もが持つ以上、マスク社会はどの世代でも知らぬ間に依存やコミュニケーション障壁を生んでいる。コロナ禍以前の作品ながら鋭い予見性のあった題材。外せない理由を突き詰れば感染症よりも根深いアイデンティティの病が混在しているかも。
2021/08/05
寂しがり屋の狼さん
「だから私は、明日のみきを描く」「ないものねだりの君に光の花束を」に続いて【汐見夏樹】さん3冊目💗読む順番…間違ってる(笑)『夜更けに会いたくなる人は、体で恋うるだけのただの欲望の対象。夜明けに会いたくなる人は、心で愛している永遠の恋人』:*(〃∇〃人)*:なんと素敵な✨好きってこう言うことか🥰美術室で遠子ちゃんが出てきた時には、わあ💕ってなったよ(笑)(*^^*)マスクを取ることは、人前で下着姿になるようなもの…今のコロナ騒ぎが治まったあとで、マスクを外せない娘がどれだけいるのか考えてしまった。
2020/08/14
mike
青春ですなあ…私の心は時としてあつかましくも高校生になる。茜と同化して私は茜になる。だから青磁をぐんぐん好きになっていくのはよく分かる。そりゃそうだろな。見た目良し、絵も上手い。アメとムチを駆使されれば、心を閉ざした恋を知らない女子はこりゃもうハートを持って行かれるわ。そんな青磁が何故茜にかまうのか理解できなかったが、それは最後に明かされてスッキリ。とてもベタな展開だが、何だかとても懐かしくて暖かくて夢中になって読んでしまった。そして私はふと我に返り自分の歳を自覚する。あぁ、青春ですなあ…
2023/09/15
優希
青春の一瞬の時間を切り取ったようでした。自分の感情を隠すようにマスクをする茜と自由奔放な青磁。正反対の2人が気がつけばだんだんと距離を近づけているように見えました。青磁は孤独で自分を締め付けている茜を助けたかったのかもしれません。ゆっくりと心を溶かしていく様子が愛おしくて。感動するプレゼントを用意していたのも素敵です。じんわりとあたたかくなっていく物語。政治は茜の心を溶かすために出会った少年なのかもしれません。
2021/07/07
とみー
ストーリーとしては、青春の恋愛の王道みたいな話ながら、そこはかとなく散りばめ、あしらわれた言葉の数々やそれらの対比は、この作品をより洗練されたものにしている気がします。 また、小説を読んでいる間にあんなにも頭の中で彩り豊かな情景が次々と現れる作品も珍しいと思います。 私は21歳の時に父を癌で亡くしました。今でも救いは、父の最期の食事の後に、満面の笑みでよかったよと言われた事で、その時の笑顔が忘れられません。作品終盤の茜の嘘偽りなく、曇り無い笑顔は、私の父のその笑顔とどこまで似ているかなと思いを馳せました。
2022/05/05
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