明日の世界が君に優しくありますように (単行本)
明日の世界が君に優しくありますように (単行本) / 感想・レビュー
sayuri
幾つもの死と不幸な出来事が描かれる本作は決して心地良い物語とは言えない。主人公はいじめから不登校になり、家族間にも問題を抱えている。自己否定感と劣等感に苛まれ自分の存在を軽い物と考える少女。環境を変え祖父母の住む田舎で暮らす事になっても、一度頑なに閉ざした心は鍵を掛けたように中々開かない。そんな彼女が愛情深い人々に触れ心のトゲが抜けて行き、この世界の優しさに気付き始める。その彼女の変化を見届けて欲しい。世の中は理不尽に溢れ悲しい事や辛い事の連続だ。今、辛くて立ち止まっている人にこの物語はきっと希望となる。
2021/11/06
アクビちゃん@新潮部😻
中学の人間関係に疲れ不登校になった真波、ある過去がある為に優等生でいる漣。高1真波の、人を信じられない気持ち、親に対しての気持ち、素直になれない気持ち、漣の罪悪感、そして真波が心配で独断と決めてしまう親の気持ち。色々な人の気持ちが、この1冊に溢れている。読んでいて、みんなの気持ちに溺れてしまいそうになる。みんながみんなの気持ちに溺れず、作者のタイトルに込めた願いの通り、明日の世界が君に優しくありますように〜
2021/10/31
へくとぱすかる
またしても自分勝手な親、今度は父親。「お前のために」というのは、やっぱりズルいセリフだ。親のいいなりにしたいという意味に気がつくことが、子どもの本当の成長だと思う。真波が海に近い祖父母の家にやってきて、学校生活の再出発をはかる物語。全体が偶然の要素が重なって動いているのがドラマを見ているよう。それにしても親子の不和を、さほど意識せずとも、うまい方向に持っていけるのが祖父母という存在のいいところだろう。まさにタイトル通りのラストにつながっていく涙もの。さっき読んだ本にも言えるけど、表紙のイメージそのものだ。
2024/03/26
starly
これは主人公が恋愛をして愛を知る話しじゃなくて家族や知人を通して優しさを知る話しなんだと思う。優しさにも様々な形があり一見厳しいようではあるがその中にでも優しさがあったり、優しさは与えも与えられも出来る。 題名は主人公に向けられた言葉でもあるし、主人公が関わった人達にも向けられた言葉でもある。 誰かが苦しんでたりしたらそっと寄り添ってあげたくなる作品。
2021/12/18
てまり
家族や友人との関係に悩み心を閉ざした少女が、祖父母の家から高校に通ううち、 周囲の温かさ、優しさに触れて少しずつ気持ちを和らげ変わっていく。 しかし彼女のかたくなさを受け止め、支えてくれた周囲の人たちそれぞれにも深い悲しみや悔いがあることを知り、自分の弱さに立ち向かっていくという、わかりやすく優しい物語。 とても真っ当で優しいので、やはり若い人向きかな。
2021/11/14
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