捨てられる宗教 葬式・戒名・墓を捨てた日本人の末路 (SB新書)
捨てられる宗教 葬式・戒名・墓を捨てた日本人の末路 (SB新書) / 感想・レビュー
パトラッシュ
藤子・F・不二雄の漫画で、科学が発展しすぎて超長命が実現した惑星を描く作品がある。そこでは生きるのに飽きた老人は、ある建物に入ると一切の苦しみなく消えられる。短命な国ほど宗教は根強く残り、日本など長命国では信者が激減する死生観の変化は、この漫画に予言されているようだ。かつて徳川幕府や大日本帝国が体制硬直化で崩壊したように、冠婚葬祭を通じて何とか維持してきた宗教の存在価値も長命化で限界に来ているのではないか。それでも何かにすがらねば生きていけない人の弱さは変わらない。果たして宗教に変わるものは生まれるのか。
2021/01/13
よっち
仏教徒が平成の30年で2000万人激減、行事・しきたりの形骸化、終活さえもめんどくさいと感じる高齢者…人類史上、初の事態に直面する日本で、これからいかに生と死に向き合っていけばよいかを考える一冊。平均寿命が伸びてきたことで定年後の時間がやたら長くなったこと、様々なものがスケジュールに組み込まれる時代には死生観も変わり、終活とかわりとどうでも良くなったり、宗教に救いを求めることがなくなっていくのはなんか分かるような気がしました…自分の世代がもっと上になった時にどうなっているのか、正直想像もつきません(苦笑)
2020/11/02
香菜子(かなこ・Kanako)
捨てられる宗教 葬式・墓・戒名を捨てた日本人の末路。島田 裕巳先生の著書。生物であれば必ず最後には死を迎える。それなのに死が身近からなくなって死が遠くて特別な存在になってしまった。だから宗教は捨てられて、葬式・墓・戒名も捨てられた。それが今の日本。無宗教であるなんて国際社会から見たら断然少数派。自分が信じる宗教があって自分が信じる宗教を真剣に語れる人が国際社会では大多数。どの宗教を信じても個人の自由なのだから自分に合った宗教をもっと追い求めてもいいはず。
2022/06/27
きゃれら
いつ死ぬか分からないと思っているが、その意味が逆転していることに気づいた。19世紀の小説で登場人物がバタバタ死ぬのは、いつ死ぬか分からない世の中と実感させるが、今自分が思うのは「いつまで長生きしてしまうかわからない」ということだ。筆者はそれを死生観Aから死生観Bへの転換だと名付け、宗教が機能しなくなっていると論じる。ああ、そうだったのかと合点がいった。ベストセラー「ゼロで死ね」は80歳くらいで死ぬことをスケジュール化してそれまでの人生を計画する話だったけど、こんなの人類史上初めてだよね。
2024/03/31
紫の煙
人類の寿命が延びたがために、宗教への関わりが変化したとの論旨であるが、自分の実感としては違う。そもそも、暮らしの中での宗教の必要性が無かった。行事として関わってきたが、それ以上の意識は無かった。科学、医学の発展、情報の氾濫で宗教は捨てられた。でも、いざという時の神頼みはしてしまう。
2021/02/17
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