誰だって芸術家 (SB新書 607)
誰だって芸術家 (SB新書 607) / 感想・レビュー
旅するランナー
あ~祭りだ、祭りだ、祭りだ、芸術祭り~。生きる瞬間、瞬間に絶望がある。誰でも絶望をマイナスに考えるが、逆に猛烈なプラスに転換しなければならない。絶望こそ孤独の中の、人間的祭りである。私は絶望を新しい色で塗り、切り拓いていく。絶望を彩ること、それが芸術だ。読書にしても、人間的変貌、世界観の確立という、自分にとって新しい世界を造り上げる前提がなければならない。と、太郎先生はのたまう。創造とは何かを思いっきり教えられます。
2023/12/11
ロビン
「芸術精神・芸術感覚をもって生きる」をテーマに、図書館で探索しない限り出会えない絶版本や新聞雑誌-美術手帳や北海道新聞ーへの投稿などのレアなテキストを中心にして編まれた岡本太郎の熱い芸術・人生論。「日常生活の惰性に埋没し、失われた人間の根本的感動をよびさまし、生命の充実感、生きがいを集団全体に与える。それが芸術家の役割だと思う」と語る太郎は、言葉の通りに全身全霊で社会とぶつかり、人々の魂を揺り動かしてきた。和辻哲郎だろうとルネサンス芸術だろうと、その権威に怯むことなくバサバサと斬っていくのも痛快だ。
2023/02/07
roughfractus02
最近出版された著者の自己啓発的発言を選んだ本書は、20世紀を生きた著者の言葉を、「富と巨大な力を誇る大国だけが大きな顔をしている」「近代主義」を徹底したIT社会の現代と重ね、「挑む」対象がスマホやPCとオンラインし続ける自分であることを意識させる寓意的構成を採用したかのように読める。外と内の区別があった著者の時代と異なり、両者を媒介するデバイスがウェアラブルになる現代では、この区別がぼやけている。読者は、自分に「挑む」ことが外の世界に挑むと同義であることを、著者の言葉を通して示唆されるように思えてくる。
2023/04/21
Hisashi Tokunaga
岡本太郎の書き記したものを、編者が埋もれたと思われる太郎言説を時代とテーマに区分けして新書版に再編集した一冊の様だ。太郎の作品が醸す違和感より言説となった文章は余程親近感の溢れた情熱の志が溢れかえる。思想家としての先見性には感服。時代の寵児だけに、彼が思う程に我々は付いていけない部分がある。でも、見直した。
2023/05/13
ラベンダー
誰だって自分を形成する、自分の人生を創造する芸術家なのだ。名もない人々の、名もない暮らしの中にこそ、生きた芸術がある。生命の充実感、生きる喜びを感じよう! 上手く言えないけど、読んで良かったなと思えた一冊(^^)
2023/02/12
感想・レビューをもっと見る