夢枕獏・あとがき大全: あるいは物語による旅の記録
夢枕獏・あとがき大全: あるいは物語による旅の記録 / 感想・レビュー
袖崎いたる
作家:夢枕獏は〝オカルト・セックス・バイオレンス現象〟の火つけ役として知られる。そんな彼のあとがきとは単なる制作裏話や構成を述べるに留まらず、身辺雑記的なことやら迄に及ぶ。当人は如何にその都度我が身に決着をつけているかを書いている的なことを述べている。この本を愛するには夢枕獏という人の書く小説を好ましく思えるかということが、読者に問われる。それへの同意がおそらく、この本を理解する地平と地続きなのだろう。なにせ自作のあとがきで「この本は絶対におもしろい」と、マジなのかネタなのかわからないことを書くのだから。
2016/01/24
遠藤三春
この本を含め、平成二年十一月までに出版された(おそらく)すべてのあとがき。面白かった。もはやエッセイのよう。デビューしたてから結構ずっと、律儀にファンレターを書いたり、ファンと交流していたりしていた模様。いいなあ。後半で手塚治虫の死について触れられていたりするのを見ると、私の時代だと漫画の神様として神格化された存在が生きていたのだという時代が垣間見えて、そちらの面でも面白い。かなり初期の作品から、この物語は面白いと何度も書かれてあり、昔からずっと書くことが好きで、自分の作品を信じ続けたのがわかる。面白い。
2015/04/08
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