萩原朔太郎: 移住日記/永遠の退屈 (シリーズ・人間図書館)
萩原朔太郎: 移住日記/永遠の退屈 (シリーズ・人間図書館) / 感想・レビュー
このみ
朔太郎は厳密な意味では自伝を書き残してはいないとのことで、この本は、自分についての回想文や書簡、日記が集められている。朔太郎の一部分を垣間見るだけだが、興味深い。「こんな所に」と言われながらも大井町の工場の煤煙と職工たちの煩雑さを愛する朔太郎。詩人の生活は牢獄の中の生活で自ら好んで怠けるのではなく終日檻の中を歩き廻って無為に暮らすしか道がないと嘆く。朔太郎の文だけでなく、最初の妻稲子の書いた「結婚敗残者の手記」も掲載されている。副題は「詩人萩原朔太郎との十年の形骸結婚を逃れて」。これは痛烈なしっぺ返し。
2019/04/23
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