「男はつらいよ」の幸福論 寅さんが僕らに教えてくれたこと
「男はつらいよ」の幸福論 寅さんが僕らに教えてくれたこと / 感想・レビュー
おさむ
先日観たBSの没後20年の特番に出ていた名越先生。精神医学からみた分析よりも先生の「寅さん愛」が溢れる本でした。ちょうど日本の家族のありようが大きく変わって行く時代の流れに、映画のテーマがあっていたのも人気の一因なのでしょう。「寅さんは菩薩様。修行は経ているが、まだ悟りを得ていない、我々人間と近しい存在。人々と一緒に悩み、苦しみ、欲にまみれて、笑い合う。そして共に歩むうちに我々の心は、いつの間にかそれまでより拾い見地に立てるよう成長している」名越先生のこんな解釈に思わず同感しました。
2016/09/07
ぶぶ ひこ
『男はつらいよ』の幸福論/満男「伯父さん、人間てさ、人間は何のために生きてんのかな?」 寅「難しいこと聞くな、、、。何というかな、ああ生まれてきてよかったって思うことが何べんかあるだろう。そのために生きてんじゃねえか」 満男「ふーん」 寅「そのうちおまえにもそういうときがくるよ、な? まあ、がんばれ」(第39作『寅次郎物語』より)
2024/03/15
ぶぶ ひこ
基定欠損(きていけっそん)http://shinri.starfree.jp/v_personality_basic_fault.html 「寅さんのように幼少期に愛されずに育ったために、恋愛など相手と関係を構築できなくなること」。精神科医の著者が、寅さんの「男はつらいよ」48作品の名場面を幸福論の立場で語る。また映画観たくなった。
2024/03/20
わんつーろっく
寅さんファンとしては、どのシーンも目に浮かび、懐かしく回想しながら、あのときの寅さん、マドンナたちの科白から、心のうちを精神科医の視点から読み解いている。所有し合う関係ではなく、出会いと別れを繰り返す関係しか築けない寅さん、基底欠損っていうんだって。時代を映し出すマドンナの生き方や、時間に追われるサラリーマンが寅さんに憧れる心理。名越先生の寅さん愛が感じられる考察だった。
2021/09/20
Nobuko
『男はつらいよ』は子供の頃、テレビでやってたなぁ〜。くらいの印象しかなく、本文中に出てくるマドンナ役の女優さんはわかっても、他の俳優さんは殆どわかりませんでした。ただあちこち行って、柴又に帰ってきて、どんちゃん騒ぎがあって、また旅に出るみたいなただの喜劇かと。でも、一作品すら真面目に観ていない私にも先生の解説は面白く、一度全作見たいと思いました。最後の日常における出会いと別れには「ハッ」とさせられました。「行ってきます」と「ただいま」は線でなく、円(縁)で生きる大切な儀式だと思います。
2016/04/17
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