宿業の思想を超えて: 吉本隆明の親鸞 (サイコ・クリティーク 18)
宿業の思想を超えて: 吉本隆明の親鸞 (サイコ・クリティーク 18) / 感想・レビュー
酩酊石打刑
吉本がオウム真理教の地下鉄サリン事件での無差別殺人に接したときに、親鸞が直面していた増悪論の問題を蘇らせた。そのときに、弥陀の本願に照らして「意図された悪」をなしたものを、親鸞が救いから除外したのかという疑問に捉えられた。そこから親鸞の思考を継続させ、悪とは行為ではなく、「意図」であるという新たな倫理の地平にいたったとの視点で、吉本の思想を読み解いていく。いささか吉本の死を契機に上梓された本であり、論考としての不徹底さは、著者自身も言っているように否めないが、十分に読み応えはある。
2012/09/20
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