利己主義という気概ーエゴイズムを積極的に肯定するー
利己主義という気概ーエゴイズムを積極的に肯定するー / 感想・レビュー
香菜子(かなこ・Kanako)
利己主義という気概ーエゴイズムを積極的に肯定する。アイン・ランド先生の著書。利己的に生きることができない人間は未熟者。利己的に生きることができない人間は何もできない。利己的に生きることを通じて自分も他人も幸せになれる。利己主義を貫くこと。利己主義を貫く他人に嫉妬しないこと。利己主義を貫く他人を非難しないこと。
2023/08/18
roughfractus02
知識や価値は思考が生み出すのでなく客観的に存在している。人はそれらを持つことを選択する(自由意志)。哲学から無視される著者のこの「オブジェクティビズム」が政治面で米インテリ層を触発するのは、知識や価値の集団独占を告発し、資本主義の自由を擁護するからだろう。一方、強者の擁護に見えるこの主張が、国家を立法府として人権擁護の面で肯定し、弱者に対して個人として向き合うと言う時、「意識の優越」を否定するアナキズムや他者を一般化するリバタリアニズムにも、自身の育った旧ソ連の集団の力を見出し、闘争しているように見える。
2018/06/09
スクワッター
★★★★☆ 良著だが、翻訳者が恣意的に内容を変更している点があり、正確な全訳ではない。原著から、ナサニエル・ブランデンの著したエッセイが抜かれている。これから読む人は、異なる翻訳者による全訳である『SELFISHNESS(セルフィッシュネス) ―― 自分の価値を実現する』を読むことをオススメします。巻末の訳者解説は良かったです。アイン・ランドの思想が、端的にまとめられている。
2023/11/24
古民家でスローライフ
アメリカを代表する国民的作家であり、個人の自由を最大の価値とするリヴァータリズムの提唱者である著者による利己主義について、考察した一冊。一般的に、利己主義というと、わがままで身勝手な人間をイメージするが、著者の主張には、自己の幸福を肯定することこそ、他者への信頼と貢献が生まれることを説いている。利己主義とは、理性的で、道徳的であることを厳しく自らに課し、自律的に生きることを目的とする。そこには、自己の利益のみを追求する短絡的な思考や行動は存在せず、自己犠牲による自己愛を否定する強さがあり、とても興味深い。
2024/11/02
O. M.
改めて、本書が示す客観主義の考え方、政治体制には、非常に共感できます。昨今の現実社会は、日本のみならず、自由の国米国においても、個人の自由・権利の侵食が進んでいるように感じます。皆が考える自由の基本原則は同じでも、個別の制度設計に問題があるのかもしれません。なお、本書は具体的な政治問題を語ったエッセイ集で、ランドの客観主義の原理原則について若干説明不足も感じられるので、これからランドを読むのであれば「肩をすくめるアトラス」から入ることをお勧めします。
2018/08/12
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