新化
新化 / 感想・レビュー
本の蟲
横書き、左綴じ、関係者へのインタビューや論文のまとめの態を取ったなんとも不思議な小説。北海道カムイコタンで大正期には数多く生息していたが、激減、幻の生物と呼ばれていたハネネズミ。その名の通り背に羽があり、永遠に近い寿命を持つ。最後の2匹による交尾実験で伝説と思われた発光・滂沱を行って死滅。研究者は生まれた仔ネズミを殺害し、失踪してしまう。その4年後に、残されたハネネズミのDNA解析から「全ての個体に遺伝的差がなく、自然によって造られた遺伝的コピーであった」という説を唱えた研究者は、同じくカムイコタンに(続
2020/08/23
warimachi
横書き小説二本を収録。どちらも力作ながら、今回読んだときには表題作よりも「カミラ蜂との七十三日」の方が印象に残った。はっきりいって世界に誇れる作品と思ったが、国内にすら出回っていない現状が悲しい。表出の仕方に幾許かの類似が見られるという程度の近さでしかないけど、アラスター・グレイの「哀れなるものたち」あたりを気に入った人は試してみる価値があるかもしれない。
2009/12/29
inugamix
表題作は「平成3年5月2日、後天性免疫不全~」を先行論文として読んでおくとより楽しめるが、後で参考文献として読んでもいいかも。ハネネズミといいカミラ蜂といい、ファンタスティックな生物をあくまでリアルサイエンスの俎上で魅力的なフィクションに仕立てる技の確かさに唸る。小説という畑において、この人は科学研究・医療現場から来た野生のプロでもあって、その強みを存分に生かした作品がすばらしい。
2009/12/17
kinaba
☆2作とも力作。科学レポート風小説というのはあまり読んだことがなかったもあって引き込まれた。特にことさらに盛り上げるポイントもないのだけれど、事実の記述を淡々と積み上げることで静かな興奮を持続させる書き方、というのは新鮮な読書体験だった。
2011/12/18
海宇未悠(うみゅみゅ☆)
うっひゃあー!まさに異常論文!!!これよ、これが求めていた石黒達昌の異常論文よ!って感じでワクワクしながら読了!ハネネズミのその後の研究論文『進化』と、ハネネズミ研究の明寺氏と同じ人物?同じ名前の別キャラ?平成2年に起こった、奇妙な蜂との遭遇のレポート『カミラ蜂との七十三日』。特に、『カミラ蜂との〜』は、ある意味ドタバタコメディ的なバラエティぽさもあるレポートだったので、驚くほど読みやすかった。
2022/05/25
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