小説家の小説家論 (福武文庫 や 101)
小説家の小説家論 (福武文庫 や 101) / 感想・レビュー
カブトムシ
p260より。阿川弘之は学生時代から志賀直哉に師事してきている。そして、М君の言うところでは「咳のしかたまで志賀さんに似てきてしまった」そうである。彼が志賀直哉から学びとった最大のものは、自己の確立であったに違いない。志賀門下にある大抵の人がそうであるように、阿川もまた、自分を中心とした小宇宙を築き上げ、とらえた問題をその中へ入れて培養し、充分に結晶したものを自己の分身として社会へ送りかえす、そういう方法を試みたであろう。だからこそ彼は戦後のなかで誰よりもはやく、自分の文体を確立することが出来たのである。
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20人ほどの作家が取り上げられているが、結構ばらつきがあり、あんま書く事ないのかなみたいなのもある。そんな中で特に良かったのは吉行淳之介。一時期かなり深い付き合いをしていたのもあってかなりリアルである。吉行さんってこんな人だったのかなというのが良く伝わってくる。
2020/02/19
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