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夢遊王国のための音楽 (福武文庫 し 103)

夢遊王国のための音楽 (福武文庫 し 103)

夢遊王国のための音楽 (福武文庫 し 103)

作家
島田雅彦
出版社
ベネッセコーポレーション
発売日
1987-09-01
ISBN
9784828830599
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夢遊王国のための音楽 (福武文庫 し 103) / 感想・レビュー

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メタボン

☆☆☆ その特殊な文体は読んでいて面白いことは面白いのだが、表題作の舞鶴歌といい、「スピカ、千の仮面」のスピカといい、現実味が感じられない少女の描写は、読んでいて本当に恥ずかしくなる。二作とも音楽を小説の創作手法に活かしているのは、音楽好きの私にとっては大いに興味をそそられる。しかし、皮肉で薄っぺらい内容には共感できなかった。初読時には結構お気に入りだったのに、今回の再読ではピンと来なかったのは、自分も年をとったせいなのかなあとも思ってしまった。

2016/03/14

ころこ

小説らしさを解体しようとする試みと、社会批判の視点は、作中人物が社会へのコミットをしないことで表現されています。人形のように動く作中人物に、作者の説明書きのような風刺調の叙述が退屈だと、島田雅彦の小説は全く受け付けないでしょう。斜に構えたポーズが人間関係に及ぶと、作中人物に親密圏が無いか、屈折した表現になります。郊外で多数派である核家族が崩壊しているのではないかと思えるような両親を名前で呼ぶ主人公は、恋人に対しても「寸止め」に終始します。徹底して戦後臭さを遠ざける作者の立場は、今読むと案外楽しめます。

2018/05/10

えとろん

とにかく島田雅彦の登場人物は女にモテる。それがヘンな奴であったしても、というよりエキセントリックな奴が持てているのだ。主要な登場人物、外交官志望の雅、ジゴロのヤマシ、ロリコンピアノ教師のアザミ誰もが世界に憎悪を内に秘め常識外れの行動をする。そんなアウトサイダーに魅かれる女性はみな魅力的であるのが、虚構だとはいえ腹が立つ。

2021/11/17

味読太郎

- 僕は現実に意味を求めようとし過ぎているのかもしれない。-抽象的なものを考え、考え、幻覚さえ見てしまう、浮遊する主人公雅が痛痒く心にささる。受賞候補三作まで読み進めて、テーマは自意識、国家、個人という所で一貫してはいて、どれもが続編とも並列とも取れそう。言葉の巧さや残るものは本作に濃く。解説の島田雅彦論が素晴らしくここまで自分が三作感想を挙げたのとあっていたり違っていたり。解説より-彼は今も昔もポストモダンなサヨクであり続けている。そして、永遠に青臭い文学青年なのだ。-なるほど。そうかもしれない。

2014/09/09

ろくしたん

島田雅彦二冊目。つかみどころがない。この人は比喩がうまいイメージだが、今回はそれが不発。色恋みたいなものなしの硬質なものもたまには書いてほしい。

2021/11/20

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