ふしぎなえ (安野光雅の絵本)
ふしぎなえ (安野光雅の絵本) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
エッシャーの騙し絵を思わせる絵がいっぱい。表紙からしてそうだ。この発想の背後にはきっと数学的な感性があるのだろう。全ページに登場し、ひたすら黙々と働く小人たちもいい。およそ日本の絵本画家とは思えない。しいて言えばドイツ風か。町の風景もなんとなくドイツっぽいようだ。誰の絵に似ているかと言えば、やはりエッシャーか。色彩の再現度が低そうにも見えるが、これはこれでいいような気もする。
2023/06/04
やすらぎ
そこは壁で行き止まりのはずなのに、なぜか人が歩いている。本が開いているようで閉じていて、もしかしたらそもそも本ではないのかもしれない。東か西か、上か下かも分からなくなる。階段をいくら上り続けても永遠に終わりがこない。だからといって雲に手が届くわけでもない。みんなそれぞれの生活をして困っていないみたいだけど、こんな街があったなら、いつ目的地に着けるのだろう。この星には重力とは違う不思議な仕組みがあるのだろうか。一度認識できた空間に、実はもう一つの世界が隠れている。その扉を開ければ、想像力で何処までも行ける。
2024/08/16
のっち♬
ストーリー性も連関性もテーマ性もおよそない、「ふしぎなえ」が並んだ文字なし絵本。基本的にはエッシャー系騙し絵のオンパレードであり、バリエーション豊富。よく見ないと騙し絵に見えないものもあり、しばし考えさせる趣きも作者の醍醐味だ。洒脱で落ち着きのあるデザインに加えて、色調やタッチのトーンの均一性が秀でているので、尚更本書は蠱惑的でグローバルな人気を誇るのだろう。日本人が描いたとは到底思えないくらい、欧州系の風情がある。寡黙な表情の小人たちのおかげで眺めていると縦横上下のみならず三次元的な錯覚まで堪能できる。
2024/01/13
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
絶妙な『ねじれ』が創り出す紙の迷宮。エッシャーのだまし絵にぬくもりとユーモアを加えたような世界。安野光雅さんの絵が魅力的なのは、迷宮の中で一生懸命に働く人々がいきいきと描かれているからかな。本のプールと、瓶から海が生まれる絵が特にお気に入り。この本をみると、最近のトリックアートには想像力を広げる『遊び』が足りない気がする。初出は1968年3月発行の『こどものとも』。
2016/04/10
馨
絵本。文字は無し。最初から最後まで不思議な絵(トリックアート)なので、じっくり見ていくと結構時間を費やしました。イメージ的にはエッシャーのような感じに思いました。
2019/07/13
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