バルガボ・パスカレ (福音館土曜日文庫 パスカレ少年の物語)
バルガボ・パスカレ (福音館土曜日文庫 パスカレ少年の物語) / 感想・レビュー
NAO
少年期の終わりを向かえたパスカレの孤独を描いた2篇。パスカレは13才になり、彼の理解者であり実質的な保護者だったマルチーヌ伯母さんは亡くなっている。普通の生活を営む大人たちの世界をこちら側、ジプシーたちの世界をあちら側とするなら、パスカレはあちら側に惹かれる不安定な時期にある。マルチーヌ伯母さんやバルガボはそんなパスカレに共感できる存在であり、純粋すぎる子どもがあちら側に拐われないよう見張っている番人のような存在だった。そのマルチーヌ伯母さんやバルガボの死は、パスカレの少年期の終息をも意味している。
2022/06/08
感想・レビューをもっと見る