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祈祷師の娘 (福音館創作童話シリーズ)

祈祷師の娘 (福音館創作童話シリーズ)

祈祷師の娘 (福音館創作童話シリーズ)

作家
中脇初枝
卯月 みゆき
出版社
福音館書店
発売日
2004-09-30
ISBN
9784834020106
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祈祷師の娘 (福音館創作童話シリーズ) / 感想・レビュー

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美登利

興味深い職業のひとつ、祈祷師。胡散臭い雰囲気があるのは否めないと思う。霊感が強い、悪い気を引き付けやすい人というのが居るのは知っているので私は違和感はそれほど無い。神主やお坊さんと同じように修行をしてなるものだと思えば良いのだと思う。だけど能力が無いとできないものなんだろう。そんな家系の血を分けてない連れ子のはるは家族と幸せに暮らしながらも少しの居心地の悪さがある。記憶が薄い実母への想いと存在意義に苦しみ、やがてそこに居る意味を見い出していく。その家庭と過程が一人称で語られつつも温かさに溢れている物語。

2018/05/21

nyanco

「きみはいい子」の中脇さんの作品、文庫化されたのをきっかけに敢えて以前出版されていた単行本を選んで読んでみました。こちらの方が「祈祷師」の雰囲気に合っているように感じたので。自分だけが家族の中で血がつながらない春ちゃんの居場所の無さが、ジンジンと伝わってくる作品でした。心理描写も巧く、金魚の小道具の使い方も巧い。生みの母を訪ねて行った際のエピソードも非常に良かった。しかし…「祈祷師」という独特の職業を題材にしてしまったせいで、「祈祷師」って大変、という事の方が強く伝わってしまう。いや、とにかく大変。続→

2013/04/19

エンリケ

祈祷師の家に連れ子で育った中1の少女の物語。祈祷師と言うと胡散臭げだが、宗教色は薄く、人に付いたサワリを払っていくのが生業。でも血の繋がっていない少女にはそんな力が有る訳では無い。彼女は家でも学校でも遠慮をし、感情や欲求を表に出す事も無い。自分のアイデンティティーを無意識に模索し、密かに悩んでいる様はとても痛々しい。でも最後は実の母の想い、そして今の家族の想いを汲み取る事が出来て良かった。誰しも何かしら人の支えになっている。その事に気がついた時、人はちょっぴり変われるのかも知れない。

2015/02/12

八百

児童書と一般書の線引きはどこにあるんだろう? 「月の砂漠をさばさばと」「西の魔女が死んだ」などは私如きが読んでも児童書とわかる…しかしこの作品はフォントが大きい、ルビ、挿絵くらいしかその要素がないではないか。腐しているわけではない、大人が読んでもいやむしろ大人が読むのに相応しい深い趣きの自分探しのストーリーを児童書と一括りにしてしまっては勿体無いと思うのだ。そして中脇さん3冊目なのだが今回は祈祷師の血縁のない家族、いつもながらその独特の着想には感心する。ポプラ社より文庫化もされているようなので読んで損なし

2016/07/08

greenish 🌿

祈祷師の家に暮らす中学生の春永。父・母とも血の繋がりがない。実の娘の姉・和花とは違い、自分だけが血が繋がっていないということを自覚し始め、所在なさを感じる。複雑な思いを抱えきれず、生みの母親を訪ねた春永がそこで目にしたものとは  ---祈祷師という特殊な力を持つ家で育った春永が、誰かと繋がっていること、自分も価値ある存在であることを求めて葛藤する様がシンプルな言葉で訴えかけてくる。中学の同級生に”感じてしまう”不登校の子がいた。自分を否定しつつ「あなたはあなたでいい」という言葉を求めていたんだろう・・・。

2013/08/06

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