岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)
岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
箱までも大切にしたい。思わず手にとってみた装丁が、物語世界への窓だ。ボートに乗って小さな河跡湖のほとりで出合った、ふしぎな生き物。自然の中のささやかな暮らし。あくまで穏やかにではあるけれど、食べることと生命の問題。「大きい人」(人間)による自然環境への干渉が語られる。ヤービにあげたひとつのミルクキャンディのもたらしたできごと。淡々と冬ごもりに向かうファンタジーが、草のそよぎや、水面に映る空のような印象を残す。爽やかな読み終わりでした。
2020/01/16
ケンケン
(435冊目)あ~ホント素敵な作品でした♪挿絵やヤービらの可愛らしさに、ついつい微笑んでしまう。環境問題や自然の摂理を優しい語り口で描かれていて、大事にしていきたい物語がまた増えました。他の方同様、なんとなくムーミンっぽい感じがする(^^) 続篇を心待ちにしたいと思います!
2015/10/10
KAZOO
梨木さんの童話でした。ほかの方も書かれているように私は最初にこの本の挿絵を見て、ムーミンを思い出してしまいました。やはり印象が同じようなのですね。ベック族の人などもムーミンに出てくるのにそっくりな感じです。話も結構楽しくわかりやすく楽しめます。シリーズ化しているのですかね。
2017/02/04
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
岸辺に棲むちいさなヤービたち。ひそやかで優しくて、懸命でいたいけでみんなのことを思いながら生きているヤービはとってもとってもかわいい♡ 生きものを食べて生きていると意識すること、以前のままの生活をずっと保てないやるせないかなしさ、自然たちの不穏な変化。いいものだけ見て生きていけないけど、それでもできるだけ美しいものだけを見ていたい。霧でけぶる湖の中を、ブランケットを手にボートで漕ぎだして日がな本を読んで暮らしたい。ちいさなものに手を差し伸べたい。「真夏の朝。霧の向こうに、立ちのぼる、青い色、青いにおい」
2019/10/22
めろんラブ
前作『海うそ』で「色即是空 空即是色」の世界を描いた梨木さんが、次はどのような境地に達するのか、新作を心待ちにしていました。その新作がこちら。児童書、しかもファンタジー。冷徹リアリストの私には鬼門かとたじろぎましたが、読み始めてすぐに、温かく力強い物語世界の虜になりました。ヤービの暮らしを通して描いているのは、虫や鳥や草木なども含めた、生きとし生けるものの命の讃歌。生の圧倒的肯定。素晴らしい作品でした。「永遠の子どもたちに」と献辞にあるように、子どもの心を呼び覚ませば、ヤービはきっと隣で微笑んでくれます。
2015/11/10
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