まく子 (福音館の単行本)
まく子 (福音館の単行本) / 感想・レビュー
starbro
西加奈子はマイブームの作家です。図書館の予約に出遅れた訳ではないですが、図書館のシステム変更に伴う配本の遅れから、ようやく読めました。中篇のため前作「サラバ!」ほど読み応えはありませんが、心身共に大人に成長する微妙な時期の感性を瑞々しく見事に描いています。本作は、スピリチュアルSF純情成長物語って感じです。「まく子」って変な名前だなって思っていましたが、「撒く子」だったんですネ。西加奈子の独特の感性の挿絵も良い味を出しています。
2016/06/07
風眠
私たちは、光の粒。小さな小さな粒々が、私たちを実体として形作っている。その小さな光の粒々は、日々形を変え、新しい何かを吸収し、光りながら闇と無に溶けて消えていく。目には見えない魂というものだけを残して。その魂は刻まれてゆく。蓄積され、形を変え受け継がれていく。少年の成長物語という枠を越え、この世界を形作っている、これは素粒子と森羅万象の宇宙という壮大な物語だ。難しいことを簡単な言葉で、でも的確に私たちに伝えてくれる西加奈子はやっぱりすごい作家だ。粒々を交換しあって、私たちは今、生きている。今を生きている。
2016/06/10
takaC
爆風スランプの「転校生は宇宙人」みたいな話だった。夏休みが終わるまで(200ページぐらいまで)はそんな話だとはまったく思いもせずに読んでいたので最後はおったまげた。
2016/12/07
さてさて
『ぼくは大人になりたくなかった』という慧がコズエという少女と出会ったことで見えてくる世界がありました。誰もが上っていく大人への階段。そんな階段の途中で後ろを振り返り、再び見上げたその先に、確かに真っ直ぐに、今までと同じように踏み締めていくことのできる階段が続いていました。この世に永遠はなく、誰もがいずれ死ぬのかもしれません。でも、だからこそ、今を大切に、今をしっかりと噛み締めて生きる。人生が儚いものであるからこそ、今という瞬間を感じて悔いなく生きる。そう、今をしっかり生きよう、そんな風に感じた作品でした。
2020/11/03
ナイスネイチャ
図書館本。思春期の少年が心と体が成長して幼いながら葛藤していく様を描いてました。人はいつか死ぬ、でも死に向かって生きていく訳ではない。永遠に続かないから素敵なんだ・・。素晴らしい人生観を語った作品でした。
2016/07/30
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