テクノゴシック
テクノゴシック / 感想・レビュー
明智紫苑
古今東西の様々な文化にある「技術」によって明らかにされる「陰影」を扱う評論集。以前のアカウントで読んだ時にはマリー・ラヴォーの章に微妙な違和感を覚えたが、今回の再読ではむしろ、すぐ後に「異教大国」日本のテクノゴシック作品を扱う章がある分、かえって腑に落ちた。「矛盾の多いところ=情報量が多く、ゴスの要素が現れる」というのは、日本の場合、さらに西洋キリスト教文明と自前の多神教文化との食い違いもあるだろう。「少女」がゴスと結びつくのは、世間慣れした成人女性以上に「反家父長制」的な要素をはらむからだろうな。
2018/07/25
ybhkr
テクノゴシックという題名だが、ゴシック、ゴス文化の基本的歴史から書かれているのでゴシック初心者でも大丈夫。逆にゴシックについて十分知識がある人にとっては、基本に裂いているページ数がいささか多すぎるかもしれない。映画「マトリックス」の考察もかなり多目。個人的には、以前、山崎まどかが「インタビュー・ウィズ・バンパイア」を漫画「ポーの一族」が原作……と書いているコラムを見て、えっ!アン・ライスでしょ?とずっと思っていたのだが、この本で「ポーの一族」が原作になっているのは「ヴァージニア」だと判明し、すっきりした。
2011/04/14
青
テクノゴシックよりゴシックに興味があるので、高原英理の『ゴシックハート』『ゴシックスピリット』の方が楽しかった。
2013/10/18
鏡裕之
非常に秀才的な著書。テクノゴシックとは、電脳世界やサイボーグ工学といってハイテク文化とゴシック的な要素を組み合わせたフィクションのことだ。そのテクノゴシックについての本。ゴシックそのものが、19世紀のゴシック・リヴァイバルに端を発していること、19世紀に吸血鬼の物語が生まれたこと、そこからゴシックが始まり、さらにロック、そしてテクノゴシックへとつながっていくくだりを丁寧に解説してくれている。著者の博識には驚かされる。1つのフィクションガイドブックとしても読むことが可能だ。
2013/05/27
おちこち
様々なゴシック作品をフェミニズム的観点から読み解くのが非常に面白かった。タイトル通りテクノロジーとゴシックの関係を論じているのだが、欲を言えばもう少しSFとゴシックの関係についてふれて欲しかった。
2012/03/31
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