マルメロ草紙 -edition courante-
マルメロ草紙 -edition courante- / 感想・レビュー
starbro
橋本 治は、学生時代からずっと読み続けている作家でした。2013年限定150部で刊行された幻の豪華本だったため、未読の本作を初めて読みました。 廿世紀初頭巴里社交界の耽美恋愛譚、著者はこんな小説も書いていたんですね。本書でマルメロが西洋花梨であることを知りました。 https://www.homesha.co.jp/products/items/isbn-978-4-8342-5351-1/
2022/01/10
くさてる
二十世紀初頭のパリを舞台にした恋愛絵巻。当時のフランス文学そのままの馥郁とした香りが文章からそのまま放たれているような内容だけれども、その根底にある人間心理への深い洞察と諦念にも似た正直さは現代人のものなのです。恋愛小説であるのには間違いないけれど、うっとりと酔うようなものではないはずなのに、その文章が描写するさまには酔うしかない。やっぱり橋本治はバケモノでした。
2022/01/16
冬薔薇
性格のまるで違う姉妹シャルロットとナディーヌ、映画のような仮装舞踏会。二人の愛と恋の行方は。「シベリアの紅、不幸の紅、ヴェネチアの紅」。岡田嘉夫の絵も相変わらず素晴らしい。
2022/01/24
amanon
大正ロマン、夢二、中原淳一、『それいゆ』の世界か…ってよう知らんけど(笑)。とにかく著者としては珍しく外国(フランス)を舞台して、多くの単語にカタカナ表記のフランス語のルビが振ってあるのが、何ともそれ(?)ぽい。他の人も述べているように、かなり耽美的な空気が濃厚なのだが、それでも終盤にスターリン独裁下の過酷な状況や、この物語の聞き手である日本人女性のシビアな現実が語られているのが、一筋縄ではいかないところ。改めて著者の才能の多彩さに恐れ入る。これが最初限定150部しか出なかったのは惜しい。隠れた佳作。
2023/03/04
空飛び猫
恋が狂わせた歯車 知ること、の恐ろしさ 甘美な毒を舐めるかのような
2022/01/08
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