ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件
ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件 / 感想・レビュー
starbro
橋本 治は、学生時代からずっと読み続けている作家でした。未読の本書が復刊されたので読みました。本書は、横溝正史オマージュ青春ユーモアミステリでした。しかし村上春樹まで引用されているとは・・・ https://hb.homesha.co.jp/n/n9f565500703c
2023/02/07
えも
懐かしいなあ、復刊ですよ。といっても実は読んではいなかったんですけど▼ホント懐かしい。時代背景が高校〜大学時代、文体はあの、嵐山光三郎や椎名誠なの昭和軽薄体。何しろ昭和軽薄体は太宰治の「女生徒」を持って嚆矢とするからなあ(嘘)▼懐かしいのは、橋本さんの言い回し。なんとも含みのある、持って回ったようなアレですよ。それで青春小説と昭和の家族小説をやるんだから、全く懐かしいこと、この上ない♪
2023/02/16
A.T
不思議なストーリーだ。個人的には似た読後感がこれまで2度くらいあった。同じく橋本治の「草薙の剣」と川端康成「山の音」だ。祖母(祖父)、母(父、叔母)、娘(息子、嫁)がひと家に暮らす家族の世代間の断絶と歴史がテーマ。時は昭和58(1983)年1月15日の成人の日、一家の祖母が絞殺されることから始まる。横溝正史の「獄門島」と「犬神家の一族」、中井英夫「虚無への供物」をオマージュするサブカル風の仕上り、シリアスとおふざけが入り混じる。橋本自身が70年安保に東大生だった「呪われた世代」というのが終生のテーマに。
2023/02/18
夏
これは1983年に書かれていて、それはわたしの生まれるより10年以上も前で、現在からはだいぶ過去に遡るけれど、まったく古臭さを感じさせない小説だった。橋本治さんの小説は初めて読むけれど、文体にもすぐに慣れて、ちょっとふざけているようなところも愛おしく感じる。余談だと思っていたところが実はこの小説の重要な部分で、余談だと思って読み飛ばさなくてよかった。ページ数は多いけど読むのが楽しくてあっという間で、終わるのが少し寂しい。終わってほっとしている気持ちもあるけれど。こういう名作がまた復刊してくれたらいいな。
2023/09/09
練りようかん
著者自身を思わせる主人公だが、小説家ではなく探偵やってたってその他諸々設定が可笑しい、取り敢えず騙されちゃってくださいとあったので飲み込む。このノリがいいなとワクワクした。コンセプチュアル・アートの図がかわいい。昭和58年1月の出来事を4月に書くという形式で殺人事件が展開、しかし推理の対象は僕が書こうとしてることで犯人じゃないことにえー!っとなる。遊びと真面目の同居、横溝ミステリと橋本ワールドの融合、特に“殺人事件に於ける都市と記号論”が面白かった。探偵側の都市に丸ノ内線の大学街を絡めたのが流石の着想だ。
2024/04/23
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