一休伝 (上) (一休伝) (ホーム社漫画文庫)
一休伝 (上) (一休伝) (ホーム社漫画文庫) / 感想・レビュー
さっちゃん
水上勉さんの著書『一休』を底本にした漫画作品の三部作の上巻。千菊丸時代から宗純を名乗るまで。あとがきによると、頓智咄は伝説として後の世が尾鰭を付けたお話のようで、水上勉さんの描く一休宗純は寺や僧が贅沢をし、金銭に溺れ、権威におもねる姿に憤る。また、まだ六歳の少年であった千菊丸が寂しい思いをしていた事、辛い思いをしていた事はあったのだろう。この作品には一休宗純という人間が生きている。水上勉さんの『一休』よりは入りやすいのではないか。小島剛夕さんの描く画の世界は、読者を否が応でも中世日本へと誘う。末世である。
2022/09/01
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