戦争の法
戦争の法 / 感想・レビュー
マウリツィウス
【佐藤亜紀の子午線】「戦争の法」とは古代におけるナポレオン統治再現再記録、『バルタザール』『鏡の影』の想起を形式模倣したこの参照テクスト群は「世界文学」=「国文学幻想批判」と重ね合わせる。古代古典は墓場へと葬られた。幻想と混在した悪夢詩的悪夢図説は古来より伝わる寓話を奏でていく理論集と愚話談。国文学など異教文書の明治維新の偉大さを讃えたに過ぎんわ、と語るであろうタイラントはローマ帝国を破滅させる。この黙示録とも呼べないフランス古典を齧っただけの衒学遺産を凄い、凄いと褒めるわけにはいかない。粉微塵にすべき。
2013/05/29
Ai
日本の東北から中部地方のどこかにあるN○○県が、共産主義国として独立。結果として文学青年になる主人公の回顧録。ゆえに、端正で皮肉が効いた文章のため、パージに内紛、派閥争いが起こっているにも関わらず血なまぐささは弱く、人物のユニークさが活き活きしている。特に、トリックスター・伍長や天才狙撃手・千秋が魅力的。戦争に参加したこと=悲惨、トラウマではなく、人生の一部として飲み込む主人公のスタンスが好き。外国人ジャーナリストに、嬉々と嘘八百の戦争ポルノを提供するのも皮肉が効いてて最高。
2019/11/22
エク
佐藤亜紀の小説は、とにかく前半が読み難い。デビュー作でもある本作は更に読み難い。だが、第二章の途中から伍長が登場すると一変する。魅力的過ぎるキャラの伍長が中心になる事で、それまで意味不明な狂言まわしでしかなかった主人公が、相棒の千秋とともに生き生きとし始め、ストーリーを引っ張って行くようになる。とは言え、地方の独立戦争という面白そうな舞台設定が、前半のあまりにも分かり難く露悪的な説明のせいか、最後までよく分からないままだったのが少し残念。
2024/09/08
seato
文章が女性ぽくない!クールなお話。 あり得ないカオスな物語なのにどこかリアルで怖かったです(笑)
2019/07/23
ホレイシア
旧バージョンで持っているのが自慢だったりして。
2008/01/28
感想・レビューをもっと見る