光車よ、まわれ! (fukkan.com)
光車よ、まわれ! (fukkan.com) / 感想・レビュー
内島菫
続きが気になってどんどん先を読んでしまう。物語の中心人物である龍子(「りゅうこ」といえば『キルラキル』の主人公も「りゅうこ」で文字にすると「流子」。龍子も流子のように最後は、いや最初から流れる子と言える)がかっこいい(小学六年生だけれど)。水を媒介/境界にした、ウラとオモテの二項対立を土台にしているが、それは作者も指摘しているとおり「あきらかにくずれてゆく」。ウラの世界の王様は娘をオモテに取られ、妻の姿もない。そしてオモテの世界でウラとかかわる子どもたちは、父親がおらず母親だけの家庭の子どもが中心である。
2018/10/10
まみ
いやすごかった。友人が子供のときに読んだ中でもっとも印象に残っている作品だと言うので興味を持って読んでみたのですが、これを小さいときに読んでいたら確かに衝撃を受けただろうし忘れられないものになっただろう。不穏なイメージの連続、夢と現実の境界が一瞬であいまいになって世界が裏返ってしまう展開、そしてこの挿絵。児童文学にありがとなわかりやすい恐怖でないだけにぞわぞわする。これはもう一度読んでみたい、今度は新装版の文庫で。
2011/05/24
霜月
挿絵の雰囲気とピッタリで、異様な世界。でもわけがわからないまま引きこまれてしまいました。日常から非日常への移り変わりが不気味で、でもなんだかありそうで・・・子どもの頃読んでいたらきっと凄く影響受けていただろうな。あぁ・・・なんだか大人になるにつれ、大事なものを少しづつ置いてきてしまったような喪失感を味わいました。でも水たまりを見たらドキッとして、道端に光車のような模様をついつい探してみたりする自分がいて・・・強烈なイメージは未だ健在のようです。
2014/02/24
ぽけっとももんが
そりゃもうつっこみどころは満載だ。龍子が何もかも知っていて、一郎たち子分はそれに付き従うだけ。集めるべきアイテムや使い方はもうわかっている。そもそも町内会単位でそんな陰謀なんてねぇ。でもこの雰囲気、中学時代麻疹のように流行った眉村卓センセイに通じるものがある。日常に忍び寄る非日常は転校生が持ってきたり、先生すら悪の手先だったり。これが40年以上前の物語だったとは感嘆する。とくに水に吸い込まれたり水面で世界が反転したりする様子は、アニメにしたら映えそうだ。
2020/03/21
misui
お、おもしろかった。露骨に夢に題材をとった物語でそのイメージの奔流だけでもぐいぐい読ませるし、なにより日常と非日常の清々しいまでに暴力的な切り替わりに驚かされる。なんの溜めも説明もないのがまたすばらしい。しかも日常といえる場面ですら不吉なイメージ(たとえば狂い咲きのタンポポや血)があちこちに散りばめられていて、読み終えた頃にはまるで目に焼きつけられたように感じた。世界が不吉に見えるようになるというか、いつまでも後を引く読書体験だった。
2010/04/25
感想・レビューをもっと見る