竜宮ホテル 迷い猫 (f-Clan文庫)
竜宮ホテル 迷い猫 (f-Clan文庫) / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
海辺の街の丘の上に建つクラシックホテル。今はアパートとして利用されている。そこは〈この世ならぬ者〉にとって優しい場所だった。異界の住人が見える作家の水守響呼は、原稿の締切を目前にアパートが崩壊し途方に暮れる。そんなタイミングで、猫の耳としっぽがある少女を助ける。編集者でホテルオーナーの息子の錦織寅彦は、響呼に救いの手を差しのべ〈ホテル〉の一室を提供する……。悲しい過去を持つ人々が集うホテルを舞台に、不思議で優しい物語が綴られる。作者はあとがきで「『小公女』のような幸せなお話を書きたかった」と記している。
2015/02/28
ひめありす@灯れ松明の火
表紙のひなぎくと管狐がすごく可愛くて、久しぶりにこの本大好きだなぁ、と思いながら読みました。本当に竜宮城に迷い込んだような、時の流れを忘れさせてくれる一冊。水を織って作った織物の様な、隅々まで瑞々しさとやわらかさに溢れた美しく繊細で透明感のある文章。同時に甘く優しい物語の中に、薄荷の飴を一つ口に含んだ様に堪え切れないさびしさや悲しみがあって、でもその奥はじんわりと甘く、目を細めてしまいたくなる切なさがある。しかし、それは決して嫌なものでなく、読み終わった後もそっとしばらく本を抱えて、余韻に浸っていました。
2012/01/21
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
**文字で綴った絵本**妖怪など、この世にあらぬ者たちを見る事が出来る響呼。それ故その世界を否定し生きていた彼女は、ある日猫の耳としっぽのある少女と出会う。その日から始まる、優しくも温かい物語――物語のひとつひとつの言葉が温かく、そして丁寧に綴られた優しい世界。読んで納得!だから"ホテル"なのか!いずれは"チェックアウト"をしなければならない。それは、この本のページを開いた時から分かっていた事。現代社会のストレスから、ほんの一時、離れたいなら『竜宮ホテル』を訪れたらいかがですか?そう思わせる不思議な物語。
2012/09/30
ちはや@灯れ松明の火
灰色の空から落ちる冷たい雨が海辺の街を包む。眠り続ける母、この世を去った父、誰かの幸せのために大切な人が不幸になるのなら、ずっとひとりぼっちでもよかった。降りしきる雨が招いた小さな出逢い。雪女の母を持つ青年、長い旅をしてきた猫耳少女、時を止めたホテルの扉が開く。人と人ならぬ者、コーヒーと花の香り、悲しい過去と辛い未来、生の息吹と死の気配、不幸も幸運も、すべてやわらかくとけあって、あたたまる空気。幸せを分け合えば、みんな少しずつ笑顔になれる。雲間からこぼれた陽が、花を縁どる雨露を光のかけらへと変えていく。
2012/03/20
そのぼん
いわゆるファンタジーものの作品でした。インパクトはそんなにないけど、優しい雰囲気でした。
2012/11/18
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