少将滋幹の母
少将滋幹の母 / 感想・レビュー
belle
あっ、谷崎!神保町は東京堂書店の新刊棚の前で思わず声が出た。70年近く前になる毎日新聞連載時の小倉遊亀の挿画と共に楽しめる愛蔵版が出版されたのである。この小説をきっかけに谷崎を集中的に読んだ頃を思い出す。当時は新潮文庫のお世話になった。稀なる美女である母を恋い慕う少将のお話である。が、回り道とも思える男どもの話があってこそだ。滑稽で強引で必死な王朝世界。そして物語の美は衣の袖に沁みた香の匂いがすべて。
2019/11/28
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