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光さす故郷へ

光さす故郷へ

光さす故郷へ

作家
朝比奈あすか
出版社
マガジンハウス
発売日
2000-07-01
ISBN
9784838711895
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光さす故郷へ / 感想・レビュー

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chimako

人は極限状態でその人となりが顕れる。なげやりになる者、他人を攻撃する者、優しさを失わない者……満州からの引き揚げと言う過酷な時間の中でよしちゃんは200kmを歩き通した。「故郷へ帰りたい」との強い思いで。運も良かった。人にも恵まれた。いつでも一生懸命で礼儀正しく、品性を忘れず居たことが幸いにしたのだろう。それでも命より大切な娘を亡くす。引き揚げ船の中で亡骸を抱くよしちゃんを想う。戦争は男も女もお父さんもお母さんも子どもたちも不幸にする。二度と戦地へ誰も送り出すことがあってはならない。日本は学んだはずだ。

2015/08/19

ころりんぱ

朝比奈さんが大叔母の満州からの引き揚げ体験を聴き取って書いた作品。幸せだった満州での暮らしはソ連進軍によってある日突然壮絶なものへと変わる。戦時下に満州に渡っていても、そこでの暮らしはとても恵まれていたので、当時のよしさん、日本が負けるなんて本当に思ってもみなかったんだなと、改めて驚く。庶民が知らないところで政府も軍も悪い方へ進んでいた恐さを感じる。救いは、彼女を支えた多くの人の良心でした。戦争から生き延びた人達は、体験したこと全部は語りきれないと思う。でも語ってくれることはたくさん聴きたいと思う。

2015/08/28

masa

本書は作者の大叔母が体験した壮絶な戦争体験記。夢の国といわれた満州国に住んでいた三十万の日本人は、ソ連軍の進行で悲惨な運命を辿っていく。祖国日本を目指す過程の想像を絶する様は、読んでいて息苦しくなる程だ。やっとの思いで乗り込んだ引き上げ船の中で、二歳の娘が命を落とす場面は涙なくして読めなかった。私を含めた戦争を知らない世代に是非読んで頂きたい本です。それにしても、軍の劣勢を隠す為に満州に住む同胞を見捨てた大本営は許すことができない。15107

2015/07/04

らむり

この手の内容はありがちとは思うけど、やっぱり朝比奈さん。良書でした。娘との最後の場面と、故郷に戻った場面は印象的でした。

2013/10/10

銀河

ほんと、人生なんて何が起きるかわからない。ちょっとした選択で、運命が大きく変わる。自分の意志ではどうしようもないものに翻弄されて、それでも子どもの為に生き抜いて。戦争を扱った書物はそれこそ小さい頃からいくつも読む機会があるから、既視感はある。飢えと不衛生な描写には読み続けるのが辛い。実家が比較的裕福な感じなのと、よしのその後の人生に救われた思いはあるが、最後の船の場面では涙が流れた。作中歌われる軍歌が悲しい。読後、たった一枚の写真を見るとまた悲しい。今の私の悩みなんてたいしたことない。

2013/06/19

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