「エロイカより愛をこめて」の創りかた
「エロイカより愛をこめて」の創りかた / 感想・レビュー
更紗蝦
青池保子作品の制作秘話として楽しめるのはもちろんですが、「クリエイター魂」の神髄といいましょうか、いい意味での「仕事人間」の生き様が伝わってくる内容で、ただの裏話で終わらない「濃厚さ」のあるエッセイ集です。「やはり小説家が加工した歴史より、歯をくいしばっても学者が調べた事実を読むほうが有益なアイデアも湧きやすい。自分が好きな世界を傷つけられて密かに涙する読者がいないように、誠実に、面白い漫画を創作しようと思っている」という言葉(179p)に、青池作品が海外で受け入れられている理由が表れていると思いました。
2015/09/19
マーブル
絵を描く現場の紹介がファンにとってはたまらない。先日見直したテレビ番組でも触れられていた一度も洗ったことのないパレット。そして少佐も御用達のネスカフェゴールドブレンドの空き瓶を使った筆洗い。デジタル全盛となった時代にあっても自分の手で描き、筆で色を塗る。出来の良し悪しや効率ではない。自分の楽しみのため。だから印刷で出ないと分かっていても微妙な塗分けをしてしまう。そう聞けば原画を見る価値もさらに増す。『エロイカ』以外読んだことがない。本書で語られる取材にかける意気込みを知れば他の歴史ものも読んでみたくなる。
2024/01/24
あかつき号
図書館で手に取った時、ベンツに腰掛け、首元からホースの水をぶっかけているつなぎ姿の少佐が目に飛び込んできた。 そうだった、私はあの夏、強烈にこの少佐に恋していたのだった。 青池作品に出てくる黒髪男性は要注意。私を日常から連れ去るいわば悪魔だ。堅実な人生のためにしばらく遠ざけていたが、ヤバい、少佐とドン・ペドロを大人買いしそうだ。いや、してしまう。する。
2015/07/05
小紫
カラーの少佐の絵姿にうっとりし、作者の仕事に対する姿勢に感心したりと、読んで充実の一冊でした。漫画家がどのように作業しているか、どのように情報やアイデアを得たりしているかを知ることも出来て、とても興味深かったです。発掘調査隊とのやり取りに、作者の熱意が見えて素敵でした。「エロイカ〜」のドイツでの取り上げられかたに、一読者でしかない私でも、なんだか嬉しくなってしまったくらい。巻末の合作の漫画は、残念ながら著者以外は知らないような状態だったのですが、当時の熱気まで伝わって来るような感じでわくわくしました。
2016/10/18
ハル
最初はフレンドなどの講談社で仕事していたなんて初めて知った!あんな作風で普通にキラキラ少女漫画をかけてたんだろうか?実家に置きっぱなしにしているエロイカをもう一度読み直したくなった。文庫版で買い直そっかな。
2021/02/26
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