ざらざら
ざらざら / 感想・レビュー
pino
喫茶店でコーヒーをいただいていたら、聞くとは無しに聞こえてきた恋の話のようにサラリと楽しめた。見ず知らずの女・女、女・男の会話は程良い声の大きさで体を通りぬけていく。ふと、外を見やると、2人の思いでがスクリーンに映し出されて踊っている。「アカの他人の恋の話」・・なのに、なのに、自分とアカの他人との重なり合った思いが、窓ガラスに、キレイな色で丸や花やハートを描いている。やがて2人は店を出ていく。自分もコーヒーを飲み終わり、席を立つ。「また来ます」そういって店のドアを開け空気をすう。泣き笑いの顔で空を見上げる
2012/06/25
mint-s
短編23話。恋に纏わる女性たちの気持ちがするっと伝わってきてとても読みごごちがいい。いつか味わったことがあるような感覚、ゆっくり好きになっていく感じ、だんだん失恋のショックが身にしみてくる感じ。ゆっくりな感じが好きで余韻を味わいながらも次々と読みたくなる。「コーヒーメーカー」と「山羊のいる草原」のアン子と修三ちゃんの会話が面白くてこの二人のお話をもっと読みたくなりました(^^)
2018/09/12
とも
★★★短編小説集。若い、大人の心のひだ、移り変わり、思い等等をさりげなく、とはいえ明け透けに表した恋愛小説であり、男のわたしには少々理解できない、というよりかは知りたくない世界であった。とはいえ、ウイットに富んだ感性を文字にする技術は秀逸。
2016/09/06
七色一味
読破。レイさんのところで、レビューに惹かれて借りてきた本です(ただし、文庫版)。恋愛ショートショートと言うべき作品集。表題作のほか「コーヒーメーカー」、「月世界」、「ときどき、きらいで」…。どれも、優しくて物悲しくて、たくさんのガラス玉が集まったような──。決して万華鏡のような派手な色合いではない──。なんて言ったらいいんだろう、柔らかなタッチで描かれた人物の、その心の襞の奥に隠された敏感で繊細なうつろいが、パステルで描いたように純朴に表現された絵画を見ているような、なにか不思議な読後感に包まれます。
2012/02/27
あつひめ
2年ぶりで再び手に取ってみた。主人公たちの美しい恋、切ない恋、忘れたくない恋がたくさん収められていてそのじんわりと熱い想いに焦がされそうになった。さらりと交わす言葉の中に実はたくさんの伝えきれなかった想いが込められている。人はどうして一番大切な人に一番言わなくてはならないことが言えないんだろう…って歯がゆい思いをしたり。自分でも同じ悩みを抱えているからまたそう思うのかもしれないけど。今回は「びんちょうまぐろ」が気に入った。読む時期によって感じ方も変わるものだな。
2011/08/26
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