正直な娘
正直な娘 / 感想・レビュー
ねむねむあくび♪
かつて読んだサガンを思い出した。私立学校に通う少女たちの気だるい厭世感のせいだろう。中学からの内部に、高校からの外部、小学校からのスーパー内部…。小さな歪んだ世界の中で息苦しそうに、けど平気な顔を保って、空気を読みながら、正直と嘘を交錯させている。大人びた醒めた視点が、安っぽい同情が一粒もなくていい。
2013/08/13
かおり
ありきたりなようで、不思議な感じ。とても忙しそうで静かに読みました。内部外部のことは経験ないけと、微妙な感じがとても良く伝わりました。なんか面倒な高校生だな、と思ったけど、今ならとても出来ない悪いことも平気だったこととか自分の高校時代もさほど変わらなかったかも😅
2021/08/29
メイ&まー
高校生の女の子たちの仲間内のおしゃべりだったり、牽制だったり、のありがちな色んな事。その延長線上にはハブがある・・・って感じとりながら怯えながら日々をするすると切り抜けていく。主人公の秋子の視点で映される裕子、栞、矢野、萌絵、サチそれぞれの「切り抜け方」と、あるときふいに露わになる正直な素顔。秋子はそれをなんだか「かわいそう」だと思う。その描き方が秀逸。だけど、肝心の秋子がなんだかカメラの役割になってしまっていて、彼女とその彼氏・岸田のことが靄がかかったまま曖昧に終わってしまった感がなきにしもあらず。
2014/05/01
skellig@topsy-turvy
じんわり滲んだ水色絵の具みたいな、少女たちの物語。残酷で真っ直ぐできつくて繊細で、でも強い。主人公が彼氏を一度失い、取り戻すというのが出来事といえる出来事かな。無論現実はハッピーエンドで終わることが少ないけど、小さな世界を一生懸命自分の手で抱えようとする少女たちはどこか神々しい。唯野さんの文が好き。
2013/03/20
ぐうぐう
デビュー作『三年身籠る』は、唯野未歩子自身による監督作の映画のノベライズとしてあった。そういう意味でこの『正直な娘』は、実質、唯野の小説家デビュー作と言っても過言ではない。映画を前提としない、小説として書かれ、小説として完結するために、彼女が選んだのは10代の少女達の物語だ。そこに、唯野の小説に向き合う誠実さを感じる。正直であろうとする少女達が、現実の中で苦しみ、そこから逃げ出そうとするとき、本当の正直さが表れる。逃げてもいいんだよとささやく、そこに唯野の優しさが込められている。
2012/01/07
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