孕むことば
孕むことば / 感想・レビュー
だまだまこ
翻訳家の鴻巣さんのエッセイ。1歳から4歳まで成長していく娘さんのやりとりがすごく面白い!ことばを話し始めて、外でたくさんことばを覚えてきて、自分の物語を紡いで、どんどん達者になっていく。自由で、のびやかなことばに溢れている。でも成長の喜びとともに、いつかの別れの寂しさもやってくる。翻訳のこと、言葉のこと、子育てのこと…たくさんの発見が詰まった一冊。翻訳小説にも興味を持った。
2020/02/20
UK
おお好奇心を刺激されるタイトル。しかも著者は嵐が丘の新訳を手掛けた翻訳者。これは読むでしょ。掘り出し物と言っては失礼だけどすごく面白い。翻訳者ならではの鋭い言葉への感性、なんて言うとキレイすぎで、旺盛な食欲に似た言葉に対するむくむくとした好奇心と欲。出産を機に、子育てと翻訳業を縦横に編んだエッセイである。自分の幼い娘が言葉を習得していくところを見つめ、言葉がいかに生まれて育まれていくかに驚きの目を瞠る。その発見を色々な著作のセリフを引きながら深めていくところが一味違う。さすがプロ。
2016/02/28
あいくん
☆☆☆☆鴻巣友季子さんは、「風と共に去りぬ」などの翻訳を手がけています。「週刊ブックレビュー」でも書評ゲストとして出演していました。この本は題名から、翻訳家としての苦労話や作品紹介のような印象を持っていましたが、そのころ生まれたお子さんのことがメインでした。女性の翻訳家の子育て日記という面が強いです。鴻巣友季子さんは1963年生まれです。このころ2000年頃、37歳の時に、翻訳や書評の仕事に充実していていました。ところが鴻巣さんはこのあと、「嵐が丘」を翻訳した後で結婚して40歳で出産します。
2019/10/08
ワッピー
子供ができてからの言葉への意識の変容というのは面白いテーマ。それにしても、子供にしか見えないものってやっぱりあるんだろうな・・リアルな何かではないけれど、ワッピーも3歳ぐらいのころには、寝るときに闇の中にだんだん状の空気の層が見え、それが次第に暗くっていく様を見ていた記憶があります。今はすぐ意識不明になるので見てないだけかもしれませんが。
2012/09/18
うたまる
翻訳を仕事にしている人の文章ってなぜこんなに面白いんだろう。鴻巣さんのエッセイを読んでいると、「豊かに生きている人だなあ」と感じる。『翻訳のココロ』で、゛『嵐が丘』の翻訳をする以上、子どもを持つことは諦めることになるかも゛と書いていた鴻巣さんだけど、この作品では出産・子育てエピソードが綴られている。子育ての話に終始するでもなく、お子さんとの会話からことばの成り立ちを考えてしまう思考は、子どもを持たない私にも興味深かった。そして今回も、勧め上手な鴻巣さんの文章によって、読みたい本が増えてしまったのでした。
2010/01/22
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