ドルフィン・ソングを救え!
ドルフィン・ソングを救え! / 感想・レビュー
starbro
樋口毅宏は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。今回は図書館の予約に出遅れて、ようやく読めました。樋口毅宏版バック・トゥ・ザ・フューチャー、90年前後のサブカルSF小説です。頁数が少ないので、当然ながら一気読みです。主人公にリリコをイメージしたのは私だけでしょうか?「ドルフィン・ソング」のライブにいってみたいなぁ!続編も楽しみです。もしもタイムマシーンが使えるなら、同じ年に生まれた尾崎豊を救いたいと思います。彼が今も生きていたらどんな曲をシャウトしていたでしょうか?
2016/02/07
めろんラブ
「青春の終わりとは、好きなバンドが解散することである」。共感のヘッドバンギングが止まらないこの名言の創作者が、本作の作者だったとは。しかしなるほど、本作を読むほどにこの言葉がしっくりくる。80~90年代、フリッパーズ・ギター、渋谷系、ロッキング・オン・・・に郷愁を覚える方はより楽しめるのでは。当時の”生の言葉”をパッチワークし、バブル後期の喧騒と虚無・空虚といった”時代の空気”をはらんだ物語として成立させた奇書。奇書すぎるが、厭世と希望を並列させたラストまで作者の術中にハマりっぱなしだった。
2016/05/09
Yunemo
岡崎京子さんのカバーイラストに、つい手を出してしまった一冊。著者は1989年に18歳、そうですか、多感な時期をこの時代で過ごしたのですね。林真理子氏の「私たちの80年代をこんなにもてあそんでいいのか」、との表現、何故だか感じ入ります。ただ、全体を流れる当時のサブカルチャーには、ちょっと理解し難いところもあって、手放しでこれは凄いと言い切れずに。ちょうど今年、バック・トゥ・ザ・フューチャーがタイムスリップしてきた年だったかと思います。その時その時の決断が、自身の行く末にどう影響したのか、知ってみたい欲望大。
2015/11/08
山田太郎
ロッキング・オン好きで、音楽好きなサブカルクソオヤジにはたまりませんが、多分100人のうち2人くらいじゃないのか、そんなやつ。山崎洋一郎より増井修が好きだな、オレ。エレカシの売れなさってネタになるな。よく考えると昔のロッキング・オン読者の性格の悪さがよく出てるな、この作者。
2016/01/24
さらば火野正平・寺
お薦め。やっぱり樋口毅宏は面白い。小沢健二と小山田圭吾が組んでいたバンド「フリッパーズ・ギター」へのオマージュ小説。伝説のバンド「ドルフィン・ソング」の大ファンであった四十代半ばの女性主人公が睡眠薬自殺を試みる。目覚めるとそこは1989年の日本。どこを読んでも面白い。フリッパーズ・ギターをはじめ、あらゆるカルチャーへのオマージュがそこかしこにちりばめてある。私が知らないネタもあるだろう。そしてブラックな皮肉も効いている。ファンタジックな設定である様でシビア。女性が読むと溜飲が下がる痛快作ではなかろうか?。
2016/02/03
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