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戦争で死んだ兵士のこと

戦争で死んだ兵士のこと

戦争で死んだ兵士のこと

作家
小泉吉宏
出版社
KADOKAWA(メディアファクトリー)
発売日
2001-12-14
ISBN
9784840103978
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戦争で死んだ兵士のこと / 感想・レビュー

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あも

悲しみの総量はどう計る?誰が計ることができるの?少なくとも死んだ人間の数が物差しにならないことは知っている。あの戦争で十万人の兵士が亡くなりました。あの紛争で572人の民間人が虐殺されました。その膨大な数は僕らの想像力を曇らせる。その一人一人が誰かの子供で、誰かの恋人で、誰かの伴侶で、誰かの大切な人だった事を分からなくさせる。下らない事に悩み、美味しいご飯を食べ、人を傷付けたり傷付けられたり、誰かを愛する何てことない日常を奪われた普通の人の、想像力も及ばない程無数の人たちの。悲しみを受け止めるべきは誰だ。

2018/02/04

miww

戦争でいつも一括りにされる兵士。そのひとりひとりに愛し大切に育んでくれた家族がいて、それまでのかけがえのない営みがある。1ページ目の兵士の死から始まるこれまでの彼。8時間前には朝食を食べ、2日前にこの基地にやってきた。彼の人生は「戦争」で唐突に終わってしまった。戦争とはこういう事なのだ。戦争で死ぬために生まれてくる人間なんてどこにもいない。

2018/02/15

☆よいこ

戦争関連絵本。小さいサイズ。英語表記あり。森の中の湖のほとりに兵士が死んでいる。1時間前は生きて戦っていた。2時間前は道に迷っていた。4時間前は子どもを助けていた。8時間前は仲間と食事をしていた。2日前基地にやって来た。3日前召集された。少しずつ時間をさかのぼる。4年と3か月前に父の会社が倒産し、大学の費用に困った彼は奨学金を得るために大学内の陸軍予備士官学校に入ることにした▽兵士になりたくてなったわけじゃない。彼は自分が兵士だったことさえ忘れていた。知らないうちに戦争は身近にせまっている

2023/02/02

yomineko

戦争で若い兵士がおひとり亡くなる。それは戦争では普通の光景かも知れないが一人一人に歴史が刻まれている。それを忘れてはならない。たったひとり、たったひとつの死では済まされない。それはそれは大きな大切な思い出が刻まれていることを忘れてはならない。

2022/08/20

めしいらず

ああ。戦争って、人生って、結局こういうことなんだなあ。森で死んだ兵士の生涯を遡りながら見えてくるのは、全ての人に等しい人生の祝福と皮肉。もしもあの時。その内一つでも違っていたら。誰もが必ず問うてしまうもの。喜びと悲しみはいつも背中合わせ。人生の絶頂とも思える日も、たった一週間で裏返ったりする。両親にどれほどに待ち望まれた誕生であったかを知ることで、その死の見え方が変わる。父親は必ずや己を責め苛むだろう。一つ一つの断片全て彼の人生。未だ額に残る幼い頃の傷も彼の断片。そして彼は今、死んだばかり。今、森は静か。

2018/03/15

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