ツクツク図書館 (ダ・ヴィンチブックス)
ツクツク図書館 (ダ・ヴィンチブックス) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
読メで見かけて気になり手に取った作品です。とにかく不思議な雰囲気で、小説というよりは、まるで絵本を読んでいるかのような、ふんわりとした気分で読み進めました。温かいワケではなく、どちらかというとなかなかダーティな女性が主人公で、ギスギスとしたキャラではありますが、不思議と突き放すことができません。’つまらない本’しかあつかわない図書館で繰り広げられる不思議な人々の世界観はちょっと忘れられなくなります。とにかく最初から最後まで‘奇妙’でありながら、ドコかかわいく見守りたくなる作風に癒されたかもしれません。
2015/07/08
シナモン
「日本風の小説の部屋」「物忘れの小説の部屋」「紙芝居の部屋」廊下はなくいくつもの部屋で構成されたツクツク図書館。そこにはつまらない本しかないという。そこで働くことになった着ぶくれの女。彼女の仕事は本を読むこと(なんと羨ましい!)。どれも不思議な物語でオチがあるようなないような。でもこの図書館には行きたくてもたどり着けない人がいるとかたまにハッとさせられる。猫は今も元飼い主の小説を探してるのかな。想像力を掻き立てられる素敵な一冊でした。
2021/01/03
pino
変な図書館だ。職員も個性的。特に着膨れの女は呆れる程、我儘で気ままだ。その上、たまに見せる純粋さはこっちの方が間違っている気にさせられるので厄介だ(このタイプには10年に一度の頻度で遭遇する)だが、女のはた迷惑さが図書館を活気づけているというイカレタ感じが愉快。つまらない本の中からつまらない本を選ぶ見立ての良さや、勝手な行動で図書館の才能を開花させるが如くの力量。まるで人気アイドルとステージママのように息ピッタリ。健気な猫が絡む話が好き。気になるのは後の展開。まさか丸投げか。答えをくれない意地悪な図書館だ
2015/07/02
ハイランド
つまらない本ばかり置いている、性格の悪い着ぶくれした女や遠視の幼稚園児、何カ国語も話せる日本語が覚束ない語学屋が働いていて、必要な人しかたどり着けない図書館。不思議なシニカルファンタジー。おもしろいと言うより雰囲気に酔う小説なのだろうか。あり得ない話だが、妙に現実を反映してる?世の中は性格の悪い人やつまらない本に満ちている。つまらない本はいつの間にかどこかに消えている。もっとも勤勉なのは実は猫である。初読の作家ながら妙に惹かれる作風。でもたまには変な職員に囲まれて日がな一日つまらない本を読むのも良いかも。
2016/12/02
ねむねむあくび♪
不思議な本。シュールで淡々とお話が進んでいく。けれど暗くない。奇妙に明るくてフフンと笑える。猫には愛しさを覚える。シンプルなのに、ウィットが効いた文章は、星新一や稲垣足穂を思い出す。つまらない本しかない図書館、と言う設定からすでに普通じゃない。この奇妙な味わいは、クセになる…。他の作品も読みたくなった!!
2013/04/30
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