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朝に咲くまでそこにいて (MF文庫ダ・ヴィンチ)

朝に咲くまでそこにいて (MF文庫ダ・ヴィンチ)

朝に咲くまでそこにいて (MF文庫ダ・ヴィンチ)

作家
遠野りりこ
出版社
メディアファクトリー
発売日
2008-08-21
ISBN
9784840124157
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朝に咲くまでそこにいて (MF文庫ダ・ヴィンチ) / 感想・レビュー

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みっちゃん

ひとはこんなにも、愛する人とそのぬくもりを求めずにはいられないのだなあ。まっすぐで不器用で、それが為に人生に迷ってしまう、心優しき人達よ。朝、目覚めたら隣にいるはずの夫がカエルに変身していた!という不思議でユーモラスな始まりから、驚きとそのあまりにもせつないラストに涙で思わず視界が滲んだ【Frog Sing アイノウタ】が一番良かった。

2014/03/21

nonpono

山本文緒が「壮絶な小説だ。他人事ではないとぞっとさせられた。」と絶賛する表題作。この底辺に流れる真夏なのに肌寒くうすら寂しいメロディーに呑まれていった。不倫に疲れて優しいホストに嵌り、残る身に余る借金。返すための風俗という選択。「ここは人生のマイナス地点で、やり直すには堕ちた分だけ登らなくてはならない」、2008年に文庫化された本作。現在でもホストや地下アイドルに嵌り、借金のかたに海外に出稼ぎとして売られる女達がいる。働く理由としてEDの中年男を拾う主人公。正気って何だろう。物哀しくも美しい再生の物語。

2024/11/01

taiko

普通だった女性が、多額の借金を作り深い穴に落ちていく。借金返済後も、その穴から這い出せずにいるのは、やり直すことの恐怖から。セリが、まともで、本当に普通の人だったから起こった感情なのでしょう。自分が狂ってしまったこと、元の自分は簡単には取り戻せない、生まれ直したい。なんとも切ない。先生との出会いと別れによって、ようやく一歩進むことの出来そうなラストシーン。セリの明るい未来を祈ってしまいます。他、夫がカエルになってしまった話、謎の男達の話を聞いた女性達の話。私も著者が、気になる作家さんになりました。

2017/05/07

アコ

3篇収録の中短篇集。遠野さん初読み。第3回ダ・ヴィンチ文学賞読者賞受賞作を改題したものが表題作で、本の裏に山本文緒氏絶賛の文字とともに添えられている「壮絶な物語だ。他人事ではないとぞっとさせられた。」の言葉通り、男に人生を狂わされた女性・セリの過酷な生き様が描かれている。軽妙な筆致ゆえ悲壮感漂うというよりどこか達観している強い女性だなという印象。ただこの手の経験不足のせいかあまり感情移入は出来ず。安アパートで過ごすじっとりと暑い夏の描写は巧いと思ったけども…。夫がカエルになるという2篇目は苦手。

2016/05/05

そら

年明け一発目から読むんじゃなかったよ、これ笑。誰かに寄りかかるばかりで生きていくなんてただ恐ろしいなあと思っている自分にとっては、ただただ恐怖を覚える本だった。人に執着することがどういうことか、恋愛依存ってなんなのかを物語にしたらこんな感じなのかなと思った。墜ちるってこういうことなんだろうなあ、って。ふつうの女性がひとりの男に人生を狂わされたっていう重すぎる表題作がすき。

2015/01/05

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