大島弓子が選んだ大島弓子選集 5 ダリアの帯 (MFコミックス)
大島弓子が選んだ大島弓子選集 5 ダリアの帯 (MFコミックス) / 感想・レビュー
shikashika555
やはり現実から遊離する人々、精神を病んだ描写が美しく描かれる。 他の方の感想にあった「境界をこえた」人たち。 70年代は、今よりずっと自由が無かった。ひとりの人権が軽かった。 経済成長に同期し生き生きと声を上げることのできる人と、抑圧されたりそもそも自分を作り上げるための養育を受けられない人との落差や分断が今以上にあったのか。 社会や人の中で声を上げられない人は自らの内に入り込み自分の声だけを聴く。そして静かに共同体の縁に追い込まれ、世を去る。 そんなさみしくて優しくて危うい間に生きる人を美しく描く。
2023/07/04
ビスケ
著者自らが選んだ選集第五弾。既読の短編ばかりだったが、「ダリアの帯」と「金髪の草原」が収録されていたので、思わずゲット。大島弓子作品には境界線を越えてしまった人が多く登場する。清潔で正しく、健康という「ふつう」の世界からずれてしまった人々は、そのままの自分であることを周りから許されない。でも大島弓子は許している。だから自分は彼女の本を読み続けるんだと思う。
2010/11/26
t80935
表題作の「ダリアの帯」は凄かった。夫の浮気と流産を機に狂っていく妻 黄菜。妄執って本当に辛い。執着する自分が嫌だから、全てを無しにしたい、忘れたいと願う。その忘れたいという願いが心に負担をかける。「わすれます わすれます. なにもかも わすれます. なにもかも わすれて. 生きなければなりません」黄菜が狂ったのは、2人のおうちという閉ざされた空間、若くして結婚して世の中と繋がっていないことなんかが、狂いの下地になっていったように感じる。こんな怖い話なのに、ハッピーエンドというのがすごい。
2012/10/09
ナオト
再読 ダリアの帯が素晴らしいのもさることながら 金髪の草原、庭はみどり川はブルー等もすごすぎる 何故唐突にも思えるモノローグがこんなに胸に刺さるのだろう ロングロングケーキは哲学的、、 ★★★★★
2019/03/03
kadocks
こに5巻あたりから死の香りがし出す作品群が選ばれている。時期的にもこういう作品が多かった。それは多分最近までずっと続いていてグーグーの最後の方までなんだけど、その死の感触は他の漫画家が到底達し得ない表現を産み出している。コミックとして考えた時読み続けるのが辛くなるような重さも含むので人を選ぶかも。
2012/09/07
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