〈世界〉はそもそもデタラメである (ダ・ヴィンチブックス)
〈世界〉はそもそもデタラメである (ダ・ヴィンチブックス) / 感想・レビュー
踊る猫
興味深く読む。作品それ自体と生真面目/愚直に対峙し、そこから宮台流の社会学や哲学を駆使した分析に取り組んでいく。一度読んだだけなので消化不足のところも多々あり、読み直す必要があるだろう。気になったところは、左翼の弱点として世界の問題と自分の実存の問題を取り違えているという指摘。平たく言えば生きづらさを社会のせいにするなという話になるのだろう。だが、宮台は一方で社会を「クソ社会」と切り捨てている。社会を生きる絶望をそれでもぐい呑みしてサヴァイヴする処方箋はなんだろうか。答えは「ノリの良さ」なのかもしれないな
2019/04/03
ゆうきなかもと
とんでもなく面白い。深い。分厚いこの一冊を読むと、宮台真司の社会の見方。世界の見方。芸術作品の鑑賞、批評のポイントが、これでもかと反復される。そのため、読み手自身の社会の見方、世界の見方、芸術作品への鑑賞、批評のポイントも変化してしまう。いや、オレがそうだったって話なんだが。まさにミメーシスが生じたらしい。それから、宮台真司の褒める映画は、本当に凄すぎる。
2021/02/04
はすのこ
宮大的映画批評の最大の特徴は、映画から社会、世界を考える点にある。本書の内容を要約すると、広範囲に渡る宮代式エッセイ集ではないだろうか。ただひたすらに分厚い...。
2016/02/27
静かな生活
宮台本の中でもトップレベルの巨篇にして、宮台理論の核心が見え隠れする隠れた問題作。数年前の最新宮台映画批評『正義から〜』をチラリとみてみたが、あちらは理論がぶっ飛びすぎている感がある。その意味で本作の方を推したい。前書きに出てくる「占いの効用」に色々なものが象徴されている。これは「よく出来た映画評論」ではない。誤解を恐れずに言えば、「オカルト神学」スレスレの啓蒙書というかなんというか。[400冊目]
2020/08/09
袖崎いたる
ベンヤミンに依拠しつつ、世界がデタラメであるという事実を直視、させる映画を求めて書き続けられる目。社会学者であるものの、宮台真司が強く動機付けられているのは脱社会・超社会的な未規定なもの、サイファ。横伝いにがんじがらめにしてくる社会を嘲笑うように顕現してみせる縦の力の正体を探りつつ、社会システム理論は私たちが依存する意味論を照明する。マトマルことを志向・嗜好しがちな世相な昨今に、デタラメへと至る道筋を示してくれる。それを受けとめる意味論が、読者にはあるのやら。まだ末端冷えびえたる春先に自問する。
2021/02/18
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