死者のための音楽 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
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死者のための音楽 (MF文庫ダ・ヴィンチ) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
読メで知ることになった山白朝子さんの短編集です。山白さんといっても、正体は「乙一」さんであります。私も読友さんから、この事実を教えていただき、とても驚きました。内容は装丁からも想像できるようにグイグイ&ジワジワとせめてくる怪談集です。基本的には「乙一」テイストがしっかりとベースにあり、作品によってはよりストレートなスプラッター描写もあります。他にも少し「中田永一」テイストが見え隠れするほんのりとしたファンタジー色を感じる作品もあり、改めて天才であり、鬼才(奇才)である作者さんの筆力に驚愕するばかりです。
2016/01/30
青蓮
タイトルに惹かれて手に取りました。この方は乙一さんの別名義なのですね。「長い旅のはじまり」「井戸を下りる」「黄金工場」「未完の像」「鬼物語」「鳥とファフロッキーズ現象について」「死者のための音楽」収録。がっつりホラーかと思えばそうでもなく、どこかノスタルジックな雰囲気のある、やや幻想的な匂いもする作品。皆さんが仰るように、読みやすい文章が「日本昔話」を彷彿とさせます。もう少し凝った文章だったら「妖しさ」を演出できたのかなと、惜しい気がします。これは私の趣味の問題かもしれないですが。お気に入りは「黄金工場」
2016/06/07
あも
記憶に残っておらず、読み返したかった1冊。初読時より面白く感じたのは、その後の著作を読んで、山白朝子の文脈みたいなものが脳内にインプットされたからだろうか。どの話を見ても、取り返しの付かない喪失があって、切なくなる。だけど、そこにはなくしたものをそっと撫でるような優しさも確かにあるのだ。ふと、夜中に感じる寂しさのような。何気なく顔を上げたときに見た夕暮れの美しさに心打たれるような。本書の良さは薄明の曖昧さ。また内容を忘れてしまっても、また読み返して、そっと表紙を撫でてみよう。妙なる音楽に耳を澄ませながら。
2018/12/28
ままこ
やるせなさが作品全体に漂う短編集。凄惨でグロい描写もあるのだが怖いというより憐れで哀しいという感情が溢れ出てくる。特に『鳥とファフロッキーズ現象について』は胸がギュと締め付けられ読むのが辛かった。
2018/05/31
hit4papa
乙一さん別名義の短編集。グロテスクさと切なさをあわせもつ怪談話です。ほとんどの作品が、時代背景がはっきりしないせいか、お伽話のような空気感が漂よっているようです。全編を通して死が色濃く描かれていますが、寂しさや儚さの中に清々しさを感じさせてくれるでしょう。
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