エムブリヲ奇譚 (幽BOOKS)
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エムブリヲ奇譚 (幽BOOKS) / 感想・レビュー
❁かな❁
とても素敵な読書時間を過ごすことができた♡まるで自分も不思議で妖しい旅をして来たような気持ちになる。山白朝子さん名義はアンソロジーでは既読だけど初読み。舞台は江戸時代。旅本を書く為に和泉鑞庵と荷物持ちの耳彦が旅をする。迷い癖のある鑞庵なので奇妙で不思議な体験をしていく連作短編集。各章すぐお話に惹き込まれる。最後の章で特に涙。その章があって本当に良かった*「エムブリヲ奇譚」「ラピスラズリ幻想」「湯煙事変」「顔無し峠」も好み!「地獄」はまさに地獄。怖いお話もあるが切なさ感動もあり素晴らしかった♡続編も楽しみ♪
2018/03/01
🐾Yoko Omoto🐾
まだ人が各地を歩いて旅するような遠い昔、珍しい湯治場を求めて行脚する旅本作家の和泉蝋庵と荷物持ちの耳彦。彼らが偶然訪れた不思議な村々での不思議極まりない出来事が、怪談とも幻想ともつかぬ絶妙なテイストで描かれた奇譚集。怪事の不可思議さを引き立たせ、俗世と彼岸との境界を引き寄せているかのような、蝋庵の不思議な迷い癖こそまさに奇譚。マイベストは殺生について考えさせられる「〆」と、理由あって何度も自分の人生をやり直す「ラピスラズリ幻想」。不条理グロから暖かな余韻の残るものまでバラエティに富む作品集。面白かった。
2016/07/16
ちょろこ
大人になって子供時代に苦手だったもののおいしさをようやく感じられた、まさにそれを体験した一冊。旅本作者 和泉蝋庵と同行者 耳彦の旅物語は時に湯けむりのように幻想的で、時に霧で隔てられたかのような彼岸と此岸をたゆたい、時に残酷を見せられる、時に地獄までも突き落とされる、そのような旅。だけれど、必ずそこにはせつないような優しさのような霧が必ず立ち込めている。その霧がきゅっと心掴んでいくこの感覚にふわっと幸せ味わう吐息がついつい…。最終話がまた温かく泣ける。迷子癖、バンザイ!今さらながら好きな世界観。
2022/07/10
yoshida
旅本作家の和泉蝋庵が旅の道連れと遭遇する怪異を描く連作短編集。ホラー色が強めですね。個人的には死別した瓜二つの男と間違われる「顔無し峠」、小豆の切ない「〆」、切なさの残る「「さあ、行こう」と少年が言った」が好みでした。和泉蝋庵の行くところは道に迷い異世界に繋がる。様々な異界。少し「クトゥルフの呼び声 」を連想したりしました。装幀も凝っていて世界観を良く表していると思います。細い三本の栞もセンスある。次はもっと切なさの成分が強めの作品を読んでみたい。さすが乙一さん。
2020/04/04
モルク
時は江戸、旅や温泉についての本を書く作家和泉蝋庵の取材旅の連作短編集。まっすぐな道であっても迷い癖のある蝋庵と同伴者荷物持ちの耳彦の遭遇する怪奇、不思議な村の数々。命の危険にさらされたり、ホラーファンタジーっぽいつくりになっている。どの話もとてもよいがラピスラズリと地獄の話が好き。そして装丁がまた美しい!栞に3本の色違いの糸が使われているのも素敵である。そして山白さんの経歴が殆ど書いてないのも笑える。まあ、山白さんの部分しか書けないのだろうけど。
2018/03/26
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