超訳百人一首 うた恋い。3
超訳百人一首 うた恋い。3 / 感想・レビュー
しゅわ
人気の超訳百人一首シリーズ、第三弾は『枕草子』で有名な清少納言をとりまく和歌物語です。才気あふれる…ちょっと小生意気な女性というイメージが強かった彼女ですが、その『枕草子』に託した思いを知ると…華やかな定子サロンも切なく感じますね。本編とはあまり関係ないけど…真面目が魅力?の道隆パパと行成くんの周囲の評価の違いっぷりは本当にかわいそうでした(汗)
2014/02/01
エンブレムT
「心揺さぶられる1冊」となりました。31文字に込められた想いを大胆な解釈でストーリー化しているシリーズですが、この3冊目に関しては『枕草子』からの伝聞を加え、その作者である清少納言その人の生き様が描かれておりました。作者の想像で補われた部分が、切なくて、優しくて、鮮やかです。時系列が前後するのと、私が古典に詳しくないのとで「この人とあの人が血縁関係で?あの和歌を詠んだのは・・・あれ?」と、ページを行ったり来たり、1、2巻を引っ張り出して読み直したりもしましたが、それら全てが幸福な読書時間になりました。
2013/11/26
masa@レビューお休み中
天国にも地獄にも行けるのが色恋である。絶頂の時は、移ろいゆく季節の如く、桜の花が咲き誇っては、散りゆく…あの刹那的な情景に似通っている。だから、嬉々とした喜びもあれば、むせび泣いてしまうほどの悲しみもあるのだろう。どんな恋にも多かれ少なかれ、種々雑多な感情が入り混じる。清少納言の色恋にも、そんな移りゆく恋慕の情が描かれている。特に、藤原実方とのお話がいい。男女の想いの違いが、愛のすれ違いを引き起こす。切ない、だけど憧れてしまう。
2012/04/30
パフちゃん@かのん変更
今回も面白いです。百人一首は昔丸暗記したけれど、背景や歌の意味は全く分かっていなかったので興味深い。3巻は清少納言縁の人達の話が中心。清少納言が礼賛していた中宮定子の母が詠んだ『忘れじの行く末まではかたければけふを限りの命ともがな』が好き。若い頃、そんな気持ちを抱いたことがありました。また、清小納言の『夜をこめて鳥のそら音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ』に対して藤原行成の返歌が『逢坂は人越え易き関なれば鳥鳴かぬにもあけて待つとか』という失礼なものだった(笑)とか。
2015/01/05
ひめありす@灯れ松明の火
紫式部が藤の様に天皇の系譜にがっちりと絡みつき、苦しいも華やかも全部書き綴り絢爛たる一本の藤の老大樹を育てたのなら、清少納言はナギの木……柳の木。キラキラ光って流れていったひとしきりの栄華。水面を撫でるなよやかな葉の様にさらさらと清らかに書き綴っていたのだと思いました。流れの奥にある淀みや澪。悲しみや苦しみは見せずにただ美しくあった栄華を誇り高く、記す。そういう愛し方も伝え方も、あってよいのだろうと思いました。ただ、色々読んで中宮定子は薄倖のお姉さまという印象。そこだけは諾子の思惑にのれなくてごめんなさい
2012/07/19
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