鳥のうた、魚のうた (幽BOOKS)
鳥のうた、魚のうた (幽BOOKS) / 感想・レビュー
いたろう
著者初読み。表題作を含む6編の短編集。表題作で、「幽」怪談文学賞 短編部門 大賞受賞ということで、位置づけは怪談集なのかもしれないが、実際には、ホラー、恐怖話と言うより、異形のもの、この世ならぬ者との邂逅をめぐる幻想小説集といった感じ。表題作の死んだ人間の顔を持つ鶏、魚、「豊魚神」の人肉を喰らう足のある人魚、「去ぬ夏は甘苦しきとぞジャムの瓶」の玉虫が化けた少年少女、などの造形が作り出す異相世界が堪らない。特に「去ぬ夏は~」は、怪談、幻想小説という括りで語るとその価値を減じてしまいかねない文学作品。
2015/07/20
あたびー
著者初読み。表題作は、打ち捨てられた屋敷神に祈ると夭逝した姉が鶏の体に女の顔で現れ、不吉な予言をして「木綿のハンカチーフ」を音外れに歌うと言う、目にも耳にも不気味な話。他に「安藤くんのプレゼント」「豊漁神」「アンのこめかみ」「雪女を釣りに」「去ぬ夏は甘苦きとぞジャムの瓶」収録。表題作以外は幻想的で不思議な出来事が起こるが不気味なという程では無い。作者は豊富な語彙を駆使して言葉を選んでいると思った。一方侍が「スープ」にするために根菜を引き抜いていると言うような茶目っ気がある。
2022/08/29
ヒロ@いつも心に太陽を!
《この、人の頭をつけた奇妙な鶏は、私の姉だ。》帯の文句と表紙絵に釣られた一冊。『幽』怪談文学賞の大賞というからどれほどの怖さを味わえるのかと思っていたが、これは賞の選者や他の読者たちが感想にのべたように「怖い」というよりも「不気味」な短編集だった。正直にいえば、表題作と「豊漁神」くらいしか私の興味は惹かれず。あまり私の感覚では面白いとは感じられなかった。上の2作に関してはその姿を想像出来るだけに「うわぁ・・・気味悪い」と印象に残ったまで。次作に期待、かな。
2013/01/26
nyanco
受賞作「鳥のうた、魚のうた」は、子供時代の不思議な体験が実に不気味に描かれ、怖かった。町田尚子さんの装丁も物語にピッタリでした。「安藤くんのプレゼント」も実に気味が悪かった。受賞作以外は、え・・・それで?というラスト。敢えて理由やその後を書かないことで怖さだけを際立出せたかったのかな。私は、もう少し最後に怖さをそそるような感じのほうが好きなのだけど・・・次の作品、楽しみにさせていただきます。
2012/07/21
カピバラ
全体的に、じめじめした印象。水浸しの手でべたべた触られたような不快感が付きまとい、そくっとする内容。鳥とか、魚って何考えているかわからないからこわいんだよな~。
2014/07/15
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