うたう百物語 Strange Short Songs
うたう百物語 Strange Short Songs / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
「日本の夏は、やっぱり怪談 和編」参加本。掌編と自分のイメージが合わないものもあり、短歌を詠んだ後に掌編を読む事、多し。「少年は 少年とねむる うす青き 水仙の葉の ごとくならびて」は閨の名残をも忍ばせる少年たちの肢体が浮かんで恥じらってしまった・・・。その中で掌編が腑に落ちたのは寺山修司の「一本の 樫の木やさし そのなかに 血は立ったまま 眠れるものを」。憎んでいる者の血を継いでいる事を厭うた者は震える。かつて抱いた後悔と選ばなかった事で犠牲にしたものに罪悪感と惜別を思いながら。
2021/07/13
はちてん
近代短歌に怪談小話を寄せた百編。歌を読んでから小話をでもよし、別々にしてもよし。蒸し暑い夜に最適。見開き一頁に一首一話の構成で、歌が左端にきちんと収まっているから歌集として扱うにも容易い。一首の歌から想像し妄想する楽しみは近代短歌に限らず古典にもいかせる遊びだと思う。短歌はこい歌ばかりじゃないよ(笑)ただ百物語のお約束として九十九話でとめてほしかった。もっとも百話目には歌の掲載がないから、粋が無いわけじゃないか。
2014/07/01
カピバラ
陰を含んだ短歌に、ぞくぞくするような短い話を添えた一冊。なかなかに秀逸だった。ちょっと読みづらいかなーと思いつつ読み終わり、百物語だから最後に幽霊出てきたらいやだなーなんて。
2014/03/24
芍薬
お話の後にくる短歌がぐっと異界に連れてってくれる一冊。この方がこんな短歌を?!と詠むのもまた楽しい。
2014/08/10
amdd
短歌からインスパイアされた、首すじをソッと撫でられるような、不気味なホラー短編集。物語はまだ始まりで、ふいっと吸いこまれる異世界の入口のようである。名久井直子さんの装丁もシックで素敵。暑い夏の夜にいかが?(涼しくなります)
2012/08/21
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