猫の地球儀 その2 幽の章 (電撃文庫 あ 8-5)
猫の地球儀 その2 幽の章 (電撃文庫 あ 8-5) / 感想・レビュー
まりも
再読。ニャンコSF物語の後半戦。幽と焔、楽、三匹の猫達を描いた話。何度読んでも色あせませんなぁ。メルヘンチックな表紙とイラストとは裏腹に、中身はガッツリとしたSFであり、ガリガリと精神を削る展開で三匹の猫たちの心理と生きざまを描いた最高にハードで読みごたえもある満足感の高い物語ですよね。幽、焔、楽の三匹がどこまでも一生懸命だったからこそ、悲しみに溢れた物語の中で光る美しさみたいなものがあったように思います。イリヤも好きやけど、個人的にはこっちの方がお気に入りなんだよね。是非読んでもらいたい。
2016/07/17
おすし
どういう世界観で何が起きているのか全部は説明されないまま読者の想像力に依る形で物語が進んでいくけっこう本気のSFの手口で難解になりがちなところ、なにかとロボットバトルに持ってく展開は少年漫画っぽいし文章のノリが軽いので読みやすい。人間の(作中では人間とは言っていないのだけど)残した資源や遺物がそんなに長い年月のあいだ朽ちずに使いつくされずにあるもんかな?とかツッコミどころも無くはないけど、有無を言わせない勢いのある面白さ!細かいエピソード考察したくなるようなちょっと深い余韻が残ります。
2023/12/12
のれん
夢は狂気、夢は物語、そして夢は残酷。 夢は猫になくてはならないが、あった所で猫は食べてはいけず、そして狂気とも言える夢への猛進のためには猫は犠牲になる。 では諦めれば良かったか。しかし夢を諦めれば一匹の猫を笑顔にしたシャボン玉も宇宙船ごっこも生まれない。 それどころかあの多くの猫を犠牲にする大馬鹿野郎が見る夢は猫共が信仰する象徴にすらなれる。 そうやはり夢は、物語を生み、希望を与えるのだ。
2020/11/12
蛇の婿
面白かった、のですが、ラスト近くの展開が…まあ、もちろん、そうでなければならないのだ、というのもわかりますが、このラスト近くの展開は…ある程度は予定調和、なのですが、ラスト近くのこの展開って…いや…なかなか、身悶えさせてくれる小説でありました…楽…
2012/04/10
ヱロ本Gメン
焔の章も十分面白かったが、この幽の章はお見事というしかない。話の流れが抜群だ。幽、焔、楽の生き様や心情と、トルクを覆う不穏な雰囲気がすれ違い交じり合いぶつかり合い見事な模様のタペストリーとなっている。こんな悲しく切ない夢があったんだね。イラストは古臭いと見る向きもあるかもしれないが、その古臭さは逆に普遍性の証であり内容と絶妙にマッチしている。読後、夜空を見上げたくなる。クリスマスの夜は尚更だろう。星空に語り継がれる夢物語。
2015/12/16
感想・レビューをもっと見る