三好達治詩集 (世界の詩 26)
三好達治詩集 (世界の詩 26) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
『測量船』を中心した初期の詩しか読んだことがない私には、この詩集は新鮮だった。『駱駝の瘤にまたがって』に収められている詩には、苦いユーモアと怒りがある。初期の端正で瑞々しい詩とは全く異なった味わいだった。小説家を含めた日本の文学者のほとんどは、第二次世界大戦の時に軍部に協力するような創作活動をしてしまった。それは無理のないことだと思うのだが、戦後になってそのことを誰よりも悔いていたのは、三好達治だったと、どこかで読んだことがある。そのような純粋な精神の持ち主によって書かれた詩には、無限の味わいがある。
2017/01/03
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