返らぬ日 (吉屋信子少女小説選 2)
返らぬ日 (吉屋信子少女小説選 2) / 感想・レビュー
青豆
女学生の友愛を描いた作品。乾物問屋の娘の彌生と、上海生まれで早熟なかつみはお互い惹かれ合い、友情を越えた愛情が二人の間に芽生える。二人の生い立ちは複雑な面があり、男性に嫌悪感がある故に、清らかな乙女に惹かれるのは当然なのかもしれない。彌生の縁談話により二人は追い詰められるが、お互いを思うが故に取る行動は美しくも哀しい。自由な恋愛が難しかった時代に、少女の間だけ許される桃色の吐息の様に儚い恋。中原淳一の挿絵がその美しい恋に彩りを与えている
2014/08/20
ペミカン
うーーん。最後の解説になるほどと思うものの、これは私の求めるのとは違う世界だな~と^-^; 美を追究する一途さは尊敬に値するし、文語の入り交じった文体は心地良かった。
2020/11/17
ni-ni-
かなり百合度高め。表題作はタイトルで察したとおり、思い切り悲恋な百合。亡き母に女流作家への夢を託されたかつみの苦心と、周囲の大人に翻弄され見知らぬ土地へ嫁いでいく彌生の苦渋の決断が切ない。かつみは信子自身をモデルにしてるのかな?後半の短編二つは、フェミニズム色強め。奉仕と犠牲の女の人生を嘆いている。解説が的外れ。男が百合読んで言いそうな感想でがっくり…。
2010/08/06
めめ
詩のような文章が多め。物語の筋よりも美しい言葉を並べる方に注力したような文章。読んでいて楽しかった。S、シスターが強めの物語で好き嫌いが分かれそう。「恋愛という熱病もある、反抗という発作にもかかり、懐疑という風邪にもかかりやすい青春時」「月もおぼろに白魚のかがりもかすむ春の空」中原純一の挿絵も素敵でした。
2022/03/23
パリスお布団
少女のはかなげな美しさがこれでもかと称えられ、男の汚泥のごとき蛮性が浮き上がる!現代社会のあまりの地獄ぶりにささくれミサンドリーに傾いている私の心を癒してくれる特効薬とは少女小説と見つけたり!表題作の「返らぬ日」そして「讃涙頌」「同性を愛する幸い」は殊に効く! 私が吉屋を知るキッカケになった、唐沢俊一が解説に寄せている。曰く社会は「夢を抱かせてくれなくなってきた」。夢を求めて人はまた吉屋を読む。なるほど。世に女を蹂躙する本の溢れていることを思えば、まさに私のユートピアのような短編集だった。
2017/05/15
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