OD>昭和初期世界名作翻訳全集 (70)
OD>昭和初期世界名作翻訳全集 (70) / 感想・レビュー
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春陽堂が昭和初年に刊行した全集本の復刻版。森鴎外訳により、コロレンコからアルツィバーシェフまでが網羅されている。鴎外の編纂方針は不明のため、個々の作品について縷述する。コロレンコの中篇『樺太脱獄記』は、流刑人からの聞き書きという体裁をとっている。極寒に閉ざされた樺太の、凄惨な自然や苛烈な人情が克明に描破され、読み応えがあった。お気に入りのアルツィバーシェフは、最多の三篇が紹介されている。癲狂院の医師が、患者との議論の果てに哄笑が止まらなくなり拘束されてしまう『笑』に、チェーホフの名作『六号室』を連想した。
2021/01/30
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