書きたい、書けない、「書く」の壁 (シリーズ日本語があぶない)
書きたい、書けない、「書く」の壁 (シリーズ日本語があぶない) / 感想・レビュー
純子
この数か月、本務時にはなかなかできなかった書くことのサポートに挑戦してみた。改めて書くことの意味を考えたくて手にしたが、読み応えがあった。方々で発表された書くことに関する文章や対談の記録。興味深いものばかり。藤原正彦さん『数学者の国語教育絶対論』は特に。「数学研究とは、高い山の頂きにある美しい花を取りに行くようなものだから、その美しさに感動しなければ、そもそも研究する気にさえならない」だから美しい詩歌、漢詩、文学に触れ、美への感受性を深める必要があると説く。国語=文系としか考えていなかったのが恥ずかしい。
2021/03/07
魚京童!
逐語的に読んでも明晰判明であり、それが世界にぴんと筋の通った秩序をもたらすようなことばで書き語るという努力を私たちはあまりに長きにわたって怠ってきたのではあるまいか。
2014/01/19
れどれ
学者、作家、歌人、エッセイストといった面々による日本語の乱れを主題とした論説、対談がとりまとめられている。丸谷才一が語る国語教育の歴史についてと漢字研究者の漢字こぼれ話が面白かった。国語能力…というより国語への感度が社会問題と接続される流れを痛切に実感する。
2022/01/30
けいちゃん
期待していたものとは違ったけど、おもしろかった。でも、『「クオレ」を取り出して読み直してみた。まったく感動しなかった。私はこの時、「小学生の時に読んでおいてよかった」とつくづく思った。』に軽くショックを受けた。「読むべき本を読むべき時に読む、というのが重要で、この時を逸し大人になってからではもう遅い。情緒を養ううえで、小中学生の頃までの読書がいかに大切かということである。」「漢字仮名交じり文を横に書くことは、欧米文を縦に書くようなひっかかりの多い不十分な書法である」心に刻んでおきたい。
2020/08/16
shimiminzou
丸谷才一先生のエッセーが読みたくて借りる。論旨というか現状認識が過激で、自分の話を持っていきたい方向に沿うよう現実をねじ曲げているような論者が多いので読んでいて食傷気味になる。日本語保守派の言もわからないでもないが、日本語も他の言語と同様経時とともに変わりゆくものと割りきる必要があるのではないか。
2014/05/04
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